マッチングアプリの危険性は、大きく分けると「恋愛感情や信頼関係を利用した金銭詐欺」と「個人情報の漏えい」の2つに集約されます。
警察庁「SOS47」に掲載されている実例には、40代・50代の被害者のケースも含まれており、決して他人事ではありません。
この記事では、消費者庁や警察庁、国民生活センターが公表している具体的な事例と発表日をもとに、マッチングアプリの危険性と詐欺の手口、そして被害を防ぐための注意点をわかりやすく整理していきます。
マッチングアプリ詐欺とは?
マッチングアプリ詐欺とは、アプリ上で知り合った相手が、恋愛感情や信頼関係を利用して金銭をだまし取る行為全般を指します。
以前は「怪しい出会い系サイト」で起きるイメージが強かったのですが、最近は本人確認のしっかりした大手マッチングアプリでも被害が報告されており、誰にでも起こり得る問題になっています。
消費者庁は2026年6月12日、マッチングアプリをきっかけにした被害について注意喚起を公表しました。
この発表は消費者安全法に基づくもので、令和6年11月頃以降、マッチングアプリで出会った人物から「営業の仕事を紹介できる」と言われて面談すると、コンサルティング契約の話に発展し、消費者金融からの高額な借入れを勧められて実行してしまったという相談が、各地の消費生活センターに数多く寄せられているという内容です。
同発表では、「合同会社PLANET」という事業者名が明記され、消費者の判断を誤らせるような説明(断定的判断の提供)を行っていたことが確認されたとされています。
「投資」や「ロマンス」だけでなく、「仕事の紹介」という切り口で近づいてくるケースもあるという点は、意外と知られていないポイントだと思います。
これは、マッチングアプリ経由の被害が、恋愛絡みの詐欺だけにとどまらないという証拠でもあります。
なお、消費者庁のこうした注意喚起は同庁公式サイトの「報道発表資料」ページで確認できるため、最新の発表内容は公式サイトで確認することをおすすめします。
マッチングアプリで起きている主な詐欺の手口とは?
代表的な手口は、大きく分けて5つあります。
- 投資詐欺(暗号資産・FXなど)
- デート商法
- 結婚詐欺
- 国際ロマンス詐欺
- ぼったくり
それぞれの特徴を、実際の相談事例とあわせて見ていきましょう。
投資詐欺(暗号資産・FXなど)
投資詐欺は、アプリで知り合った相手が「必ず儲かる」「元本保証」などと言って暗号資産やFX取引に誘導する手口です。
国民生活センターは2022年3月3日、「出会い系サイトやマッチングアプリ等で出会い、恋愛感情を持った相手から、実態のわからない投資等の海外サイトを紹介され投資したが、出金できなくなった」といった相談が多数寄せられているとして、注意を呼びかけました。同センターの越境消費者センター(CCJ)が受け付けた相談は、2020年度が109件(うち投資等に関する相談は84件)、2021年度は12月31日までで187件(うち投資等に関する相談は170件)と示されています。
同センターは、「出会い系サイトやマッチングアプリ等で出会った相手の指示で投資するのはやめましょう」「すぐに居住地域の消費生活センター等に相談してください」と呼びかけています。
デート商法
デート商法は、恋愛関係を築いたうえで高額な商品やサービスを契約させる手口です。
会話が盛り上がった頃合いを見計らって、宝飾品やエステ、セミナー契約などを持ちかけてくるケースが典型的だとされています。
結婚詐欺
結婚詐欺は、結婚を前提に交際しているように装い、「結婚資金が必要」「借金を清算したい」などの理由でお金を要求し、受け取った後に姿を消すパターンです。
婚約めいた言葉を交わした直後にお金の話が出てきた場合は、一度立ち止まって考える必要があると感じます。
国際ロマンス詐欺
国際ロマンス詐欺は、外国人を名乗る相手がSNSやアプリを通じて接触し、恋愛感情を利用して金銭を要求する手口で、近年特に増えているタイプです。
一度も直接会わないまま関係が進み、海外送金や暗号資産での支払いを求められる点が特徴です。
ぼったくり
ぼったくりは、デートと称して店に誘い出し、法外な料金を請求するというものです。
| 手口 | 特徴 | 主な入口 |
|—|—|—|
| 投資詐欺 | 「必ず儲かる」と投資へ誘導 | アプリ→外部投資アプリ |
| デート商法 | 恋愛関係を築いて高額契約 | 対面でのデート |
| 結婚詐欺 | 結婚を匂わせ金銭を要求 | 婚約後の金銭要求 |
| 国際ロマンス詐欺 | 外国人を装い恋愛感情を利用 | SNS・LINEへの移行 |
| ぼったくり | 指定の店で法外な請求 | デートの場所指定 |
警察庁「SOS47」が公表した実例と被害額|40代・50代のケース別まとめ
警察庁の特殊詐欺対策サイト「SOS47」の「SNS型ロマンス詐欺」のページでは、実際の事例が、被害者の年代や被害額とともに紹介されています。
同サイトに掲載されている事例を、被害額とともに整理してみます。
40代女性のケース(被害額 約500万円)
英国在住の韓国人と名乗る男性とSNSで知り合い、一度も直接会わないまま結婚を約束し、「仕事で必要な金を立て替えてほしい、立て替えないと契約違反で逮捕される」などと言われて約500万円をだまし取られたケースです。
40代男性のケース(被害額 約700万円)
マカオ在住を自称する30代女性から暗号資産の短期取引を持ちかけられ、合計約700万円の被害に遭ったと紹介されています。
50代男性のケース(被害額 約3300万円)
マッチングアプリで知り合った女性から「インターネットショップの運営を勧められた」として合計約3300万円をだまし取られたとされており、被害額の大きさに驚かされます。
さらに深刻なケース(被害額 約1億5000万円)
マッチングアプリで知り合った「為替アナリストを自称する女性」からFX投資を勧められ、指定口座に振り込みを続けた結果、約1億5000万円の被害に至ったという事例も掲載されています。
これらの数字はいずれも警察庁「SOS47」サイトに掲載されている令和7年分の事例に基づくものですが、被害額や手口の詳細は今後も更新される可能性があるため、最新の内容は警察庁の公式ページで確認することをおすすめします。
これらの事例に共通しているのは、実際に一度も会ったことがない相手からお金の話をされている、という点です。
警察庁は、翻訳アプリや生成AIを使えば誰でも簡単に他人になりすませる時代になったことを踏まえ、「会ったことがない人からお金の話が出たら、送金する前に警察へ相談してほしい」と呼びかけています。
僕らの世代からすると、i-modeでメールをやり取りしていた頃には想像もつかなかった手口だと感じますが、テクノロジーが進化した分、なりすましの精度も上がっているということなのだと思います。
マッチングアプリの個人情報漏えいリスクとは?アプリ側のセキュリティ問題
マッチングアプリの危険性は、詐欺被害だけではありません。
アプリに登録した個人情報そのものが漏えいするリスクもあります。
大手マッチングアプリの「Omiai」では、2021年5月に運営会社が、サーバーへの不正アクセスにより、年齢確認のために提出された書類の画像データ約171万件(報道による)が対象になったと発表しています。
本人確認のために提出した身分証明書の情報などが対象になっていたとされ、こうした事件は運営会社側のシステムの脆弱性を突かれることで起きるとされています。
つまり、詐欺の心配だけでなく、「自分が入力した情報がどこまで安全に管理されているか」という視点も、マッチングアプリ選びでは無視できないということです。
マッチングアプリの危険性から身を守るための注意点
ここまで見てきた手口を踏まえると、被害を防ぐために意識したいポイントはある程度共通しています。
- メッセージが定型文っぽくないか確認する
- アプリ以外(LINEなど)への移行をすぐ求めてこないか警戒する
- 出会って間もないのに、すぐ会いたがる相手には注意する
- 投資や副業、儲け話を持ちかけてくる相手はブロックする
- 実際に会う前にビデオ通話をしてみる
- 初対面は人目のある場所を選ぶ
特に、「マッチングアプリ内では投資勧誘が禁止されている場合が多いため、悪意のある相手ほどLINEなど外部への移行を急ぐ」という点は覚えておくと役立ちます。
警察庁の分析でも、マッチングアプリで知り合った後、早い段階でLINEへ誘導された場合は詐欺を疑うべきだと明記されています。
また、金融庁も、SNSやマッチングアプリを通じて知り合った相手から暗号資産やFXなどの投資勧誘を受けたら、まず取引業者が金融庁の登録を受けているかを確認するよう呼びかけています。
著名人を名乗る偽アカウントがLINEグループへの参加を促し、投資が成功しているように装う手口も確認されているため、「有名人本人からDMが来た」という状況自体をまず疑ってかかるくらいがちょうどいいと思います。
万が一お金を振り込んでしまった、あるいは振り込む直前で違和感を覚えた場合は、迷わず最寄りの警察署や、消費者ホットライン「188」に相談することが大切です。
考察:なぜマッチングアプリの詐欺被害はなくならないのか
ここからは、公表資料を読んだうえでの筆者の見方です(公式の見解ではありません)。
警察庁の資料にも「マッチングアプリ上で知り合った後、早い段階でLINEに誘導された場合は詐欺等を疑ってください」とあるように、「本人確認のあるアプリ=絶対安全」という思い込みが、被害が続く一因になっているのではないかと考えます。
たしかに、大手アプリは身分証確認や監視体制を整えていますが、それはあくまで「入り口」でのチェックにすぎません。
一度マッチングした後、相手がLINEなど別のツールに会話を移してしまえば、アプリ運営会社の目は届かなくなります。
今回紹介した消費者庁の注意喚起や警察庁「SOS47」の事例を見ても、被害の多くは「アプリの外」で起きていることが分かります。
つまり、アプリそのものの安全性だけでなく、「アプリを出た後の自分の判断」がもっとも重要な防波堤になっている、というのが筆者の見方です。
フリマアプリの取引トラブルも、運営会社が用意した公式のメッセージ機能や決済システムを離れた瞬間にリスクが跳ね上がるという点で、マッチングアプリの構造とよく似ています。
「運営の管理が及ぶ範囲を自分から外れないこと」が、ジャンルを問わずネット上のだまし取り被害を防ぐ共通の鉄則なのだと、筆者としては改めて感じています。
また、被害額が数百万円から時には1億円を超える事例まであることからも、この種の詐欺はもはや一部の不運な人だけの話ではなく、40代・50代の働き盛り世代にも十分起こり得る身近なリスクだと捉えるべきだと考えます。
今後は、アプリ運営会社側のeKYCや不正検知の強化に加えて、利用者側が「恋愛感情とお金の話は切り離して考える」という意識を持てるかどうかが、被害を減らす鍵になっていくと筆者としては見ています。
まとめ
マッチングアプリの危険性は、投資詐欺・デート商法・結婚詐欺・国際ロマンス詐欺・ぼったくりといった手口に加え、個人情報漏えいのリスクにもおよびます。
消費者庁(2026年6月12日発表)や国民生活センター、警察庁「SOS47」が公表している事例からも分かるように、被害額が数百万円から億単位に及ぶ例もあります。40代・50代の事例も掲載されており、決して他人事ではありません。
「会ったことがない相手からお金の話が出たら、まず疑う」という基本姿勢を持ちつつ、外部ツールへの誘導や急な誘いには慎重に対応することが、被害を防ぐ第一歩になります。
もし少しでも不安や違和感を覚えたら、一人で抱え込まず、警察や消費生活センターに早めに相談することをおすすめします。
よくある質問
マッチングアプリで知り合った相手から投資の話が出たらどうすればいい?
投資の話が出た時点で、まずは送金や口座開設をせず、金融庁の金融事業者検索でその業者が登録を受けているか確認することが大切です。少しでも不安があれば、金融庁の相談窓口や警察に相談しましょう。
マッチングアプリで知り合った相手にLINEを教えても大丈夫?
信頼関係ができる前に、相手から積極的にLINEなど外部ツールへの移行を求められた場合は注意が必要です。運営会社の監視が届かなくなることで、詐欺のリスクが高まるとされています。
個人情報の流出が心配な場合はどうすればいい?
運営会社の実績やセキュリティ体制を確認したうえでアプリを選ぶことが基本です。すでに登録している場合は、パスワードの使い回しを避け、不審なログイン通知がないか定期的に確認しておくと安心です。
参考にした公式情報(2026年10月14日確認)
- 消費者庁「マッチングアプリをきっかけに、コンサルティング契約の勧誘をし、消費者金融業者での高額な借入れをさせて支払わせる事業者に関する注意喚起」(2026年6月12日):https://www.caa.go.jp/notice/entry/046534/
- 警察庁 SOS47「SNS型ロマンス詐欺」:https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/case/sns-romance/romance/
- 国民生活センター「ロマンス投資詐欺が増加しています!」(2022年3月3日):https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20220303_2.html

