SNSトラブル対策として最も実施率が高いのは「不用意な投稿をしない」で、実施率は57%です。
これはNTTドコモ モバイル社会研究所が公表した調査「SNSトラブル対策で最も実施率が高いのは『不用意な投稿をしない』―年代・属性別にみた実施状況の違い―」で明らかになった数字で、根性論ではなくデータに基づいた結果です。
この記事では、実施率のランキングに加えて、誹謗中傷やなりすましといった具体的なトラブルにどう備えればいいのかを、順番に整理していきます。
この記事でわかること
- SNSトラブル対策として実際に多くの人がやっていること(実施率ランキング)
- 誹謗中傷を「してしまう側」にならないための注意点
- 誹謗中傷を「受けた側」になったときの対処手順
- なりすまし被害への具体的な対策
- 年代・性別・利用頻度によって対策の傾向がどう違うか
なお、この記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。
SNS各サービスの仕様や法制度は変更される場合があるため、最新情報は公式サイトも確認してください。
SNSトラブル対策の基本3つ|投稿・公開範囲・つながり管理
「SNSトラブル対策」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、実際に多くの人がやっているのは「投稿する前に一呼吸置く」「見せる範囲を決める」「関わる相手を選ぶ」という3つです。
このあと紹介する調査でも、上位3つの対策はまさにこの3系統に対応しています。
以前、家電量販店のスマホ相談コーナーで働いていたとき、「知り合いに送ったつもりのDMが、公開範囲の設定ミスで誰でも見られる状態になっていた」という相談を受けたことがあります。
本人には全く悪気がなく、単に設定画面のどこを確認すればいいか分からなかっただけでした。
似たようなケースとして、40代の男性から「昔書いた投稿を会社の人に見られていた」と相談を受けたこともあります。
過去の投稿を見直す習慣がなかったため、転職して間もない時期に古い愚痴の投稿を上司に見つかってしまい、気まずい思いをしたそうです。
こうした相談を何件も受けてきた経験から言えるのは、SNSトラブルの多くは「知識不足」よりも「確認する習慣がないこと」が原因になっているということです。
まずは実際にどれくらいの人が、どんな対策をしているのかを見ていきましょう。
SNSトラブル対策、実際どれくらいの人がやっている?
結論から言うと、最も実施率が高いのは「不用意な投稿をしない」で57%、次いで「パスワードの管理・変更」が43%です。
これはNTTドコモ モバイル社会研究所が公表した調査によるもので、X(旧Twitter)、Instagram、Facebook、TikTokのいずれかを利用している人を対象にしています。
続いて「公開範囲の設定」が34%、「つながりの管理(ブロック等)」が31%という結果でした。
一方で気になるのが、「特にない」と答えた人が23%もいたことです。
つまり、およそ4人に1人は具体的な対策を何もしていない、ということになります。
この数字は、スマホ相談の現場でも実感と近いものがあり、少し危機感を持つべき水準だと感じています。
対策は「多ければいいというものでもない」というのが、この記事で伝えたいポイントのひとつです。
自分がどんな使い方をしているか(発信中心か、閲覧中心か)によって、優先すべき対策は変わってきます。
次の章で、性別・利用頻度ごとの傾向を見ながら、自分に合った対策の選び方を考えていきましょう。
性別や年代によって対策の傾向は違うのか?
同じ調査では、性別による違いもはっきり出ています。
「公開範囲の設定」と「相談相手がいる」は女性のほうが高く、「情報の確認・ファクトチェック」は男性のほうが高いという結果でした。
相談窓口で対応していた印象としても、女性のほうが「誰まで見えるか」を先に確認してから投稿する方が多く、男性は「この情報は本当か」を確認してから発信する方が多い、という傾向は感覚的にも近いものがあります。
実際に、30代の女性からは「投稿する前に公開範囲を毎回チェックしている」という声を聞いたことがあり、逆に50代の男性からは「拡散されているニュースが本当かどうか、まず検索してから自分でもコメントするようにしている」という話を聞いたこともあります。
どちらが優れているという話ではなく、対策の入り口が人によって違う、と捉えるのが現実的でしょう。
40代・50代のなかには、SNSでの発信に慣れている方と、ニュース確認や連絡用にしか使っていない方が混在しているため、対策の意識にばらつきが出るのも自然なことだと考えられます。
SNSの利用頻度が高いほど対策も増える理由
調査では、SNSを1日に複数回利用する層のほうが、「公開範囲の設定」や「つながりの管理」、「過去の投稿の整理・削除」の実施率が高い傾向が見られました。
逆に、1日1回以下の利用頻度の層では「特にない」と答えた割合がやや高めでした。
これは感覚的にも納得できる結果です。
使う頻度が上がるほど、公開範囲や過去の投稿が「誰かに見られるリスク」として意識されやすくなるということでしょう。
たまにしか使わない人ほど、逆に設定を見直すきっかけが少なく、初期設定のまま放置してしまいがちです。
使用頻度が低い方こそ、久しぶりにログインしたタイミングで一度、公開範囲とつながりの一覧をチェックすることをおすすめします。
具体的には、次の手順で確認できます。
1. アプリを開く
2. プロフィールアイコンをタップする
3. 「設定」または「プライバシー」を開く
4. 「公開範囲」の項目を確認する
5. 意図しない相手に公開されていないかチェックする
誹謗中傷を「してしまう側」にならないための注意点
SNSトラブル対策というと「受けたときの対処」を想像しがちですが、実は「加害者にならないこと」も同じくらい重要な対策です。
政府広報オンラインが公開している情報によると、SNS上で根拠のない悪口を投稿すると、名誉毀損罪や侮辱罪に問われたり、高額の慰謝料を請求されたりする可能性があります。
特に侮辱罪については、法定刑の引き上げが行われ、2022年(令和4年)7月7日から施行されています。
引き上げ後は、1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金が科される可能性があるとされています。
ここでのポイントは3つです。
- 誹謗中傷と批判意見は違う(人格を否定・攻撃する言い回しは誹謗中傷にあたる)
- 匿名でも技術的に投稿者を特定できる場合がある
- カッとなったときこそ、時間を置いてから投稿を見直す
自分で直接投稿していなくても、「リポスト」「リグラム」など再投稿で拡散した場合も同じ責任を問われる可能性がある、という点は見落とされがちです。
私見になりますが、「相手が有名人だから何を言われても仕方ない」という考え方は、法律上まったく通用しません。
相手が誰であっても、人格を否定するような投稿は誹謗中傷にあたる可能性があります。
誹謗中傷を受けたときの3つの対処法
もし自分が誹謗中傷を受けてしまったら、SNS上で言い争うと状況が悪化しやすいため、まずは冷静に次の3つの対応を検討しましょう。
1. ミュートやブロックなどで相手を「見えなくする」
2. SNS事業者に投稿削除を依頼する
3. 信頼する人や公的な相談窓口に相談する
1. ミュート・ブロックで見えなくする
ミュートは相手に知られずに投稿を非表示にする機能、ブロックは相手とのつながり自体を断つ機能です。
名称や操作方法はサービスによって異なるため、利用中のアプリで一度確認しておくと安心です。
2. 投稿削除を依頼する
該当する投稿のURLをメモし、画面のスクリーンショットや動画を保存します。
そのうえで、「通報」「報告」「お問い合わせ」といったメニューから削除依頼を行います。
ミュートやブロック、削除依頼だけでは解決しない場合、匿名の発信者を特定して損害賠償請求を行うことも可能です。
2022年(令和4年)10月1日の法改正により、情報開示の手続きが以前より簡易・迅速になっています。
3. 信頼できる人や相談窓口に相談する
一人で抱え込まないことが大切です。
電話、メール、SNS、Webチャットなどで、誰にも知られずに相談できる窓口が複数用意されています。
- 違法・有害情報相談センター(削除方法などの具体的なアドバイス)
- 法務省 インターネット人権相談受付窓口(人権相談全般、法務局からの削除要請)
- セーファーインターネット協会「ネットの誹謗中傷」(サイトへの削除促進通知)
- 厚生労働省「まもろうよ こころ」(電話・メール・チャット等の相談窓口紹介)
炎上すると「世の中全員から攻撃されている」ように感じてしまうこともありますが、実際に投稿という形で炎上に参加している人は、思われているよりもずっと少ないという指摘もあります。
落ち着いて、まずはこの3つの手順を思い出してもらえればと思います。
なりすまし被害への対策も知っておこう
誹謗中傷と並んで増えているのが、自分の名前や顔写真を無断で使われる「なりすまし」被害です。
なりすましは単なるいたずらではなく、名誉毀損罪や侮辱罪、不正競争防止法違反など、複数の法律に抵触する可能性がある行為とされています。
法務省などの公的機関の解説や、SNSトラブルに詳しい弁護士による解説記事などで共通して挙げられている、違法性が認められやすいケースは次のとおりです。
- 実名・顔写真・勤務先など本人を特定できる情報を使用している
- 「本人の発言」として虚偽の事実を投稿している
- 投稿内容によって本人が職場や対人関係で不利益を受けている
- なりすましアカウントが知人にメッセージを送り、金銭被害や信頼失墜を招いている
一方で、明らかにパロディ・風刺とわかる形式で、本人と誤認させる意図が薄い場合は、違法性の判断が難しいケースもあるとされています。
なりすましを発見したときの初動対応として重要なのは、次の3ステップです。
1. 証拠保全(スクリーンショット・URL・日時を記録する)
2. 各SNSの公式通報機能から削除申請を行う
3. 自分のアカウントのパスワード変更・二段階認証の設定を見直す
証拠保全は、削除申請だけでなく、後々の発信者情報開示請求や法的手続きでも重要な材料になります。
なりすましアカウントは通報後に運営者自身が削除してしまうこともあるため、気づいた時点でできるだけ早く記録を残しておくことが大切です。
発信者情報開示請求は、プロバイダ責任制限法に基づく制度で、2022年の法改正により「非訟手続き」が導入され、以前より迅速・簡便に請求できるようになっています。
SNSトラブル対策 早見表
| 対策カテゴリ | 具体的な内容 | 実施率(全体) |
|—|—|—|
| 投稿内容の見直し | 不用意な投稿をしない | 57% |
| アカウント管理 | パスワードの管理・変更 | 43% |
| 公開範囲の管理 | 公開範囲の設定 | 34% |
| 人間関係の管理 | つながりの管理(ブロック等) | 31% |
| 何もしていない | 特にない | 23% |
こうして数字で並べてみると、「不用意な投稿をしない」という最も基本的な対策が、実は最も実施率が高いということがわかります。
裏を返せば、パスワード管理までを含めた上位2つの対策だけで43〜57%の人が実践している一方、公開範囲やつながりの整理まで手をつけている人は3割程度にとどまっているということです。
特別なツールや専門知識がなくても、投稿前の一呼吸とパスワードの見直しという2点から始めれば、上位層に近い対策水準に到達できると言えるでしょう。
考察:なぜ「基本の徹底」がSNSトラブル対策の要になるのか
ここからは、筆者自身の考えとして書かせてください。
基本対策の実施率が伸び悩む理由
今回の調査結果を見て感じたのは、SNSトラブル対策というのは「特別な知識」よりも「日々の小さな習慣の積み重ね」が中心になっているという点です。
パスワード管理や公開範囲の設定は、一度やってしまえばそれほど手間のかかる作業ではありません。
それでも実施率が34〜43%にとどまっているのは、「後回しにしがち」という人間の心理が大きく関係していると考えられます。
相談窓口で対応していたときも、「設定を変えたほうがいいのは分かっているけれど、後でやろうと思って忘れていた」という声を何度も聞きました。
先ほど紹介した40代男性の「過去の投稿を会社の人に見られていた」というケースも、まさにこの「後回し」が招いた結果だったと言えます。
女性の実施率が高い傾向について
女性のほうが「公開範囲の設定」「相談相手がいる」といった対策で高い傾向にあった点は興味深いデータです。
個人的には、これはリスクへの感度の違いというより、日常的にSNSでのやり取りが多い分、トラブルへの備えを自然と身につけている人が多いのではないかと推測しています。
実際に相談を受けた30代女性のケースでは、友人グループ間でトラブルが起きた経験を機に、以降は投稿ごとに公開範囲を細かく使い分けるようになったと話していました。
こうした一度の経験が習慣化のきっかけになっているケースは、相談現場でも複数見てきました。
男性の傾向と情報検証の重視
一方で男性は「情報の確認・ファクトチェック」を重視する傾向がうかがえます。
先ほどの50代男性のように、拡散されている情報を自分で検索してから発信する、という慎重さは、誤情報の拡散を防ぐという意味でも有効な対策だと感じます。
どちらが優れているという話ではなく、対策の入り口が人によって違う、というだけのことだと考えられます。
今後の法整備の見通し
誹謗中傷やなりすましについては、今後も法整備が進んでいく分野だと考えられます。
侮辱罪の法定刑引き上げや、発信者情報開示請求の非訟手続き導入は、いずれも被害者側が声を上げやすくする方向の改正です。
筆者としては、今後もこうした「被害者が動きやすくなる仕組み」は拡充されていく可能性が高いとみています。
同時に、加害者側になるハードルは下がっていない、むしろ厳しくなっているという点は、SNSを使うすべての人が意識しておくべきだと思います。
40代・50代になると、SNSは「若い人のもの」という感覚がまだどこかに残っている方も少なくありません。
しかし今回のデータからもわかる通り、40代・50代も含めた幅広い層が日常的にSNSを利用し、それぞれにトラブル対策を実践しています。
「自分は大丈夫」と思わず、今の自分の使い方に合った対策を、ひとつでも増やしておくことが大切だと感じます。
まとめ
SNSトラブル対策として最も実施率が高いのは「不用意な投稿をしない」(57%)で、パスワード管理、公開範囲の設定、つながりの管理と続きます。
誹謗中傷は「してしまう側」にも「受ける側」にもなり得るため、投稿前に一呼吸置く習慣と、被害を受けたときのミュート・ブロック・相談窓口という3つの対処法を覚えておくことが重要です。
なりすまし被害についても、証拠保全・通報・自アカウントの設定見直しという初動対応を知っておけば、いざというときに落ち着いて動けます。
まずは自分のSNSアカウントを開いて、公開範囲とパスワードの設定を確認するところから始めてみましょう。
不安な場合は、公式ヘルプやアカウントの安全設定もあわせて確認しておくと安心です。
(出典:NTTドコモ モバイル社会研究所「SNSトラブル対策で最も実施率が高いのは『不用意な投稿をしない』―年代・属性別にみた実施状況の違い―」)
よくある質問
SNSトラブル対策で一番効果があるのは何ですか?
調査データでは「不用意な投稿をしない」の実施率が57%と最も高く、多くの人がまず取り組んでいる対策です。ただし、パスワード管理や公開範囲の設定もあわせて行うことで、より備えが強化されます。
誹謗中傷を受けたら、まず何をすればいいですか?
言い争いを避け、まずはミュートやブロックで相手を見えなくすることが推奨されています。その上で、SNS事業者への削除依頼や、公的な相談窓口への相談を検討しましょう。
なりすましアカウントを見つけたらどうすればいいですか?
まずスクリーンショットなどで証拠を保全し、各SNSの公式通報機能から削除申請を行います。あわせて自分の正規アカウントのパスワード変更や二段階認証の設定も見直しておくと安心です。
