SNSがきっかけで、未成年が思わぬトラブルに巻き込まれるケースが後を絶ちません。
結論から言うと、未成年のSNSトラブルは「なりすまし」「言葉巧みな誘導」「安易な画像送信」の3パターンが特に多く、警察庁の最新統計でも被害児童の約9割がフィルタリング未設定のスマートフォンを使っていたことが分かっています。
この記事では、警察庁・都道府県警が公表している事例を10件に整理し、最新の統計データとあわせて、どんな手口があるのか、なぜ被害が起きるのか、家庭で今すぐできる対策までを分かりやすくまとめます。
この記事でわかること
- 未成年が巻き込まれやすいSNSトラブルの具体的な事例10件
- 加害者がよく使う手口のパターン
- 小学生・中高生それぞれで起きやすいトラブルの違い
- 家庭でできる予防策
- 万が一のときの相談先の考え方
未成年のSNSトラブルはどれくらい起きている?
まず気になるのは「実際どれくらい起きているのか」という点です。
警察庁生活安全局人身安全・少年課が2026年2月に公表した「令和7年における少年非行及び子供の性被害の状況」によると、令和7年(2025年)中にSNSに起因する事犯で被害を受けた児童は全国で1,566人にのぼり、前年から80人増加しています。
このうち、だまされたり脅されたりして自分の裸を撮影・送信させられる「自画撮り被害」は515人で、全体の被害態様の中でも40.5%と最も高い割合を占めており、前年より53人増えています。
さらに注目したいのが、SNSを介して犯罪被害に遭った子どものアクセス手段です。
同じ資料によると、被害児童のアクセス手段のうち約97.6%(1,529人/1,566人)がスマートフォンで、フィルタリングの利用有無が判明した771人のうち約89.2%にあたる688人がフィルタリングを設定していなかったことが分かっています。
この数字は、「フィルタリングをしていない」ことが被害の直接的なリスク要因になっていることを示しており、対策の第一歩がどこにあるかを教えてくれる重要なデータだと筆者は考えます。
一方、学研教室が紹介している総務省の調査(令和4年通信利用動向調査)では、6〜12歳で自分のスマートフォンを持つ小学生は42.6%、そのうちSNSを利用しているのは41.8%で、前年度から5%増加していることも紹介されています。
つまり、スマートフォンとSNSの利用は小学生の段階からすでに一般的になっており、「うちの子はまだ小さいから大丈夫」とは言い切れない状況になっています。
なお、性的な姿態を無断で撮影・拡散する行為を取り締まる性的姿態撮影等処罰法違反の検挙件数も、令和7年は3,897件と前年(3,132件)から24.4%増加しており、画像トラブルそのものが広がっていることもうかがえます。
未成年のSNSトラブル事例10選|手口ごとに見る実態
ここからは、警察庁や都道府県警が公表している事例をもとに、未成年が巻き込まれたSNSトラブルを10件に整理して紹介します。
似たような文脈で近づかれるケースが多く、手口を知っておくだけでも防げる被害があります。
①【なりすまし】芸能事務所マネージャーを名乗る手口
SNS上で「芸能事務所のマネージャー」を名乗る人物が、10代の女子に接触した事例が報告されています。
「仕事をするには枕営業が必要」などとうそをついて信用させ、わいせつな行為に及んだというケースです。
肩書きや職業を偽って信頼を得る手口は、SNSでは相手の身元を確認しづらいという特性を悪用したもので、年齢や見た目だけでは判断できない怖さがあります。
②【肩書き利用】芸能プロダクション代表者による事例
芸能プロダクションの代表者が、所属タレントの女子高校生に対し、活動の管理・指導者という立場を利用して性交等に及び、児童福祉法違反で検挙された事例も報告されています。
指導・育成の立場という「上下関係」が、被害を訴えにくくする要因になっていたと考えられます。
③【出会い系アプリ】金銭と引き換えの要求から画像拡散の脅迫へ
出会い系アプリで知り合った男から現金を持ちかけられ、女子がわいせつ行為をされたうえ、その様子を撮影され、画像の公開をちらつかせて関係の継続を強要された事例があります。
一度撮影された画像を材料に関係を継続させられる「継続的な支配」の構図は、被害が長期化しやすい深刻なパターンです。
④【アルバイト詐取】「マッサージで高額バイト」の誘導
SNSでアルバイトを探していた10代の女子が「マッサージで1日数万円稼げる」と誘導され、遠方まで連れて行かれて働かされたケースが報告されています。
「稼げる」「即日払い」といった言葉は、判断力を鈍らせるための典型的な誘い文句だと言えます。
⑤【報酬名目の性被害】AV出演報酬をかたる手口
アダルトビデオ出演の報酬名目で女子高校生に現金を渡す約束をし、性交等をした上でその様子を撮影した会社員の男が、児童買春・児童ポルノ禁止法違反で検挙された事例もあります。
「報酬」という体裁を取ることで、被害者側が加害行為だと気づきにくくなっている点も見過ごせません。
⑥【オンラインゲーム経由】小学生女児への自画撮り要求
小学生の女子児童が、オンラインゲームで知り合った男から自分の裸の写真を撮らされ、SNSで送信させられた事例が報告されています。
ゲーム内のやり取りという、保護者の目が届きにくい場所が接点になっている点が特徴です。
⑦【なりすまし】女児を装って男子小学生に画像要求
無職の男が女児になりすまし、オンラインゲームで知り合った男子小学生に対してSNSのトーク機能で性的画像を要求し、送信させた事件が検挙されたケースも確認されています。
被害に遭うのは女子だけではなく、男子児童も対象になり得ることを示す事例です。
⑧【身近な大人による加害】教員によるSNSグループでの画像共有
小学校教諭の男が女子児童の下着を盗撮し、教員同士のSNSグループチャットで画像を共有していたとして、性的姿態撮影等処罰法違反で検挙された事例もあります。
加害者が見知らぬ他人とは限らず、身近な大人であるケースも見過ごせません。
⑨【JKビジネス】中学生がコンパニオンとして登録されていた事例
女子中学生が先輩からコンパニオンのアルバイトを紹介され、宴会場などに派遣されて接客をさせられていた事例では、複数の中学生がコンパニオンとして登録されていたことも分かっています。
大都市の繁華街を中心に、女子高校生などによるマッサージや会話・ゲームの接客を売り物とする営業は「JKビジネス」と呼ばれ、一見問題のないアルバイトに見えても、未成年者が客から児童買春やわいせつ等の被害に遭うケースが目立っているとされています。
⑩【組織的な関与】暴力団幹部による児童福祉法違反事例
暴力団幹部が女子児童を社交飲食店経営者に引き渡し、不特定多数の客への接待業務に従事させていたとして、児童福祉法違反で検挙された事例も報告されています。
SNSを入り口に、組織的な形で未成年が利用される深刻なケースも存在することが分かります。
小学生のSNSトラブルは中高生と少し傾向が違う
ここまでは主に中高生の重大な性被害事例ですが、小学生の場合はやや異なるトラブルが目立ちます。学研教室の記事をもとに整理します。
仲間外れ・いじめへの発展
SNSのグループから1人を除外したり、悪口を書き込んだりする行為がエスカレートし、学校でのいじめに発展するケースがあります。
警察庁の統計でも、いじめに起因する事件のうちインターネットを利用したものは令和7年中に71件発生しており、侮辱や名誉毀損が目立つ内容となっています。
文字だけのやり取りは気持ちが伝わりにくく、予測変換の誤送信などで意図せず相手を怒らせてしまうこともあります。
ゲームの高額課金・ワンクリック詐欺
無料のゲームで遊んでいるうちに有料サイトへ誘導され、保護者のアカウントに登録されたクレジットカード情報から決済が完了してしまうケースがあります。
何気なくクリックした先が、料金を請求するワンクリック詐欺だったという例もあり、性的な画像などをクリックした場合は子どもが保護者に相談しづらく、被害が拡大するおそれもあります。
ストーカー被害・個人情報の特定
SNSに投稿した写真から、瞳に映った景色や背景に写り込んだ建物などをもとに、住所や通っている学校が特定されてしまうことがあります。
こうした情報が拡散され、ストーカー行為につながった事例も報告されています。
著作権侵害による思わぬトラブル
好きなキャラクターの画像やアイドルの写真を無断でアップロードすることが著作権侵害にあたると知らない子どもも多く、悪意なく投稿した結果、著作権侵害を問われる可能性もあります。
SNS上での評判を気にしてどんどん投稿していたら、実際に問題化してしまった事例もあるとされています。
なぜ被害が起きてしまうのか(背景・要因)
これらの事例を並べて見えてくるのは、「SNSは相手の身元を確認できない匿名の空間である」という根本的な特性です。
警察の注意喚起でも、SNS等のサイバー空間は自分の身を守ってくれる人がいない匿名の世界だとされており、SNSで知り合った相手をうっかり信用したり、不用意に会ったりすることが、性被害や重大事件につながる危険性があると指摘されています。
加えて、フィルタリング未設定の子どもが被害児童の約9割を占めるというデータは、技術的な対策の不足が被害拡大の一因になっていることを示しています。
筆者としては、この「匿名性」と「フィルタリング未設定」という2つの要因が重なったときに、リスクが一気に高まると考えます。
子ども自身の判断力だけに頼るのではなく、家庭側であらかじめ技術的なブレーキをかけておくことが、被害を未然に防ぐうえで大きな意味を持つはずです。
家庭でできる対策
被害に遭わないためのポイントとして、次の5点が挙げられています。
- 子どもが使用するスマートフォンには必ずフィルタリングを設定する
- 個人を特定されるような情報を書き込んだり、他人に教えたりしない
- 下着姿や裸の写真は絶対に撮らない、撮らせない
- SNSで知り合った人と不用意に会わない
- スマートフォンを安全に使うためのルールづくりをする
スマートフォンの場合、携帯電話大手各社が提供する「あんしんフィルター」などを使えば、比較的簡単な設定でフィルタリングをかけることができます。
なお、フィルタリングは一度設定したら終わりではなく、子どもの年齢や発達段階に応じて、内容を適切に見直していくことも大切だとされています。
また学研教室の記事では、家庭のルールとして次のような取り組みも紹介されています。
- スマートフォンを子ども部屋に持ち込まない、使用時間を決めるなどのルールづくり
- SNSの使い方や危険性について、日頃から親子で話しておく
- 人の悪口を書き込まない、知らない人に写真を送らない、会おうと言われてもすぐ会いに行かないことを伝える
- 著作権侵害についても、きちんと理由を説明して納得させる
- 保護者にすぐ相談できる雰囲気を家庭内でつくっておく
インスタグラムやX(旧Twitter)、YouTube、TikTokなどの主要SNSには年齢制限があり、12歳以下ではアカウントを作成できないルールになっています。小学生のうちは、無理にアカウントを持たせない選択も検討する価値があるでしょう。
なお、SNSの年齢制限や安全機能の仕様は変更される場合があるため、最新の内容は各サービスの公式ヘルプもあわせて確認しておくと安心です。
考察:SNSトラブルは「特別な家庭」だけの問題ではない
ここからは筆者としての見方を書きます。
今回取り上げた10件の事例を見て感じるのは、被害に遭った子どもたちの多くが、決して不注意だったわけではないということです。
「マネージャーを名乗る」「アルバイトを紹介する」「オンラインゲームで仲良くなる」といった手口は、いずれも子どもにとって自然な文脈の中で近づいてくるため、大人が思う以上に見抜きにくいと考えられます。
だからこそ、「うちの子はしっかりしているから大丈夫」という思い込みは危険で、どの家庭にも起こり得る問題として捉える必要があると筆者は考えます。
また、過去数年の流れと照らし合わせると、性的姿態撮影等処罰法違反の検挙件数が前年比24.4%増加していることからも、手口そのものが「対面での接触」から「画像を撮らせて拡散をちらつかせる」形へと重心を移してきているように見受けられます。
これは、SNSやオンラインゲームというオンライン空間だけで加害行為が完結してしまう時代になったことを意味しており、家庭内の見守りだけで防ぎきるのが年々難しくなっていることの裏返しでもあると筆者は考えます。
一方で、学校やSNS事業者側の対策も少しずつ進んでいます。
未成年アカウントに対する年齢確認の強化や、保護者が子どものアカウントを管理できるペアレンタルコントロール機能の追加は、多くの主要SNSで進められている取り組みです。
ただし、こうした機能はあくまで「利用しなければ意味がない」ものであり、フィルタリング未設定の子どもが被害児童の約9割に及ぶという現状を踏まえると、機能の存在を知らせるだけでは不十分だと感じます。
家庭・学校・SNS事業者のそれぞれが対策を講じていても、実際に設定・活用されなければリスクは減らないというのが、この分野を継続的に見てきた筆者としての率直な実感です。
今後の見通しとしては、SNSやオンラインゲームがさらに生活に浸透していく中で、加害者側の手口も巧妙化していくことが予想されます。
だからこそ、一度フィルタリングやルールを設定して終わりにするのではなく、子どもの成長やSNSの利用状況に合わせて、定期的に家庭内で見直していく姿勢が今後ますます重要になっていくと筆者は考えます。
まとめ
未成年のSNSトラブルには、なりすましによる接近、アルバイトや報酬を装った誘導、オンラインゲームやSNSを通じた画像送信要求など、10件の事例からも分かるようにいくつかの典型的な手口があります。
小学生の場合は、いじめへの発展や高額課金、個人情報の特定によるストーカー被害、著作権侵害など、より身近なトラブルも目立ちます。
警察庁の最新統計でも被害児童の約9割がフィルタリング未設定だったことが分かっており、まずは家庭でのフィルタリング設定と、親子でのルールづくり・対話が被害防止の大きな一歩になります。
心当たりのある投稿や写真がある場合は、一人で抱え込まず、まずは家庭内で話し合い、必要に応じて警察や相談窓口に相談することを検討してみてください。
よくある質問
未成年のSNSトラブルは中高生だけの問題ですか?
いいえ、小学生でも起きています。総務省の調査を紹介した学研教室の記事では6〜12歳のスマートフォン所有率が42.6%、そのうちSNS利用は41.8%と報告されており、いじめや高額課金、個人情報の特定など、年齢に応じた形でトラブルが発生しています。
フィルタリングだけ設定すれば安心ですか?
フィルタリングは有効な対策の一つですが、それだけでは十分とは言えません。子どもの年齢や発達に応じた設定の見直しに加え、SNSの危険性について家庭で話し合っておくことも大切だとされています。
自画撮り被害はどんな相手からでも起こり得ますか?
はい。信用していた交際相手や友達であっても、写真が流出・拡散するリスクはゼロにはできません。特に面識のない相手には、自分の裸の写真を絶対に送らないことが被害防止の基本とされています。
この記事の統計や事例はどこの情報をもとにしていますか?
警察庁生活安全局人身安全・少年課が2026年2月に公表した「令和7年における少年非行及び子供の性被害の状況」と、学研教室の記事で紹介されている総務省「令和4年通信利用動向調査」をもとにしています。数値やSNSの仕様は変更される場合があるため、最新情報は公式資料もあわせて確認してください。
この記事は2026年7月時点で公表されている警察庁の統計・事例をもとに作成しています。

