SNSトラブルを防ぐ一番の対策は、実は難しい設定ではなく「不用意な投稿をしない」ことです。NTTドコモ モバイル社会研究所の調査でも実施率57%でトップでした。
この調査は、全国の15〜59歳のSNS利用者4,031人を対象に2025年2月に実施され、結果は2026年6月8日にレポートとして公開されています。
この記事では、そのデータをもとに、今日から始められる8つの対策と、いざというときの相談先までまとめました。
この記事でわかること
先に全体像を示しておきます。気になる項目から読んでもらって大丈夫です。
- SNSトラブルの主な種類と法的なリスク
- 今すぐできる具体的対策8つと、それぞれの実施率
- 二段階認証の設定手順(初めてでもできるように番号付きで解説)
- なりすまし・誹謗中傷が法的にどう扱われるか
- 万が一トラブルに遭ったときの相談先
SNSトラブルとは?どんな被害が起きているのか
SNSトラブルというと漠然としていますが、代表的なものは誹謗中傷、なりすまし、個人情報の流出、詐欺的なDM、炎上への巻き込まれです。
政府広報オンラインでは、SNS上で根拠のない悪口を投稿すると、名誉毀損罪や侮辱罪に問われたり、高額の慰謝料を請求されたりする可能性があると説明されています。
特に侮辱罪は、インターネット上の悪質な投稿に厳正に対処するため法定刑が引き上げられ、2022年7月7日から施行されました。
正直なところ、僕自身も会社員としてSNSを使っていて、「これくらい大丈夫だろう」と思って投稿した内容が、後から見返すと少し攻撃的だったなと反省したことがあります。
言った側も、実は言われた側と同じくらい後で嫌な気持ちになるものだと感じています。
なぜ今SNSトラブル対策が重要なのか|利用頻度と対策実施率の関係
背景には、SNSの利用頻度が上がるほど対策への意識も高まるという構造があります。
先ほどのモバイル社会研究所の調査によると、SNSの利用頻度が高い層ほど「公開範囲の設定」や「つながりの管理(ブロック等)」といった対策の実施率が高いことが分かりました。
具体的には、1日に複数回SNSを利用する層では「公開範囲の設定」が36%、「つながりの管理」が33%、「過去の投稿の整理・削除」が17%と、利用頻度が低い層より高い傾向が出ています。
一方、1日1回以下の利用層では「特にない(何も対策していない)」という回答が24%でした。
これとは別に、SNS利用者全体で見ると「特にない」と答えた人は23%でした。低頻度層の24%と全体の23%はほぼ近い値ですが、集計している母集団が異なる点は押さえておいてください。
この結果から、SNSを頻繁に使う人ほど「使いながら自衛する」という意識が自然と身についていくのだと考えられます。
逆に言えば、利用頻度が低い人ほど油断しやすく、思わぬトラブルに巻き込まれるリスクがあるとも言えるでしょう。
今すぐできる具体的対策8選|実施率つきで解説
ここからは、モバイル社会研究所の調査結果をもとに、実際に多くの人が実践している8つの対策を、実施率が高い順に紹介します。
まず全体像を表で整理しておきます。
| 対策 | 実施率 | 男女差など |
| — | — | — |
| 不用意な投稿をしない | 57% | 女性61%/男性53% |
| パスワードの管理・変更 | 43% | 記載なし(全体値) |
| 公開範囲の設定 | 34% | 女性40%/男性27% |
| つながりの管理(ブロック等) | 31% | 記載なし(全体値) |
| 情報の確認・ファクトチェック | 26%(男性)/20%(女性) | 男性が高い傾向 |
| 相談相手がいる | 女性12%/男性8% | 女性が高い傾向 |
| 過去の投稿の整理・削除 | 高頻度利用層で17% | 全体値は非公表 |
| 特にない(対策なし) | 23%(全体) | 低頻度層は24% |
対策1:不用意な投稿をしない(実施率57%)
モバイル社会研究所の調査で最も実施率が高かったのが「不用意な投稿をしない」で、57%の人が実践していました。
性別で見ると、女性は61%が実施しているのに対し、男性は53%とやや低めでした。
政府広報オンラインでも、SNSの向こうには一人の生身の人間がいることを想像し、投稿前に「もし自分が同じことを言われたらどう感じるか」を考える必要があると呼びかけています。
批判意見と誹謗中傷は違います。相手の人格を否定・攻撃する言い回しは、正当な批判ではなく誹謗中傷にあたる可能性があると覚えておきましょう。
対策2:パスワードの管理・変更と二段階認証(実施率43%)
同調査で2番目に実施率が高かったのが「パスワードの管理・変更」で、43%の人が実践していました。
パスワードを定期的に見直すことに加えて、二段階認証(パスワードに加えて確認コードなどでも本人確認をする仕組み)を設定しておくと、アカウントの乗っ取りやなりすましのリスクを大きく減らせます。
「設定が難しそう」と感じる方も多いと思いますが、実際にやってみると5分ほどで終わります。同世代の友人に教えるつもりで、代表的な手順を番号付きでまとめてみました。
二段階認証の設定手順(例:X/Instagram共通の考え方)
1. アプリを開き、右下または右上のプロフィールアイコンをタップする
2. 「設定とプライバシー」または「アカウントセンター」を開く
3. 「セキュリティ」または「ログインとセキュリティ」を選ぶ
4. 「2段階認証」または「二要素認証」の項目を選ぶ
5. 「認証アプリ」または「SMS」など、自分に合った方法を選択する
6. 画面の指示に従ってコードを入力し、設定を完了する
表示名やメニューの位置はアプリのバージョンによって変わることがあるので、見当たらない場合は検索窓に「二段階認証」と入力して探すとスムーズです。
端末を紛失したときの復旧方法も、設定した直後に確認しておくと安心です。バックアップコードが表示された場合は、スクリーンショットではなくメモアプリなど別の場所に保存しておくことをおすすめします。
対策3:公開範囲の設定を見直す(実施率34%・男女差あり)
「公開範囲の設定」は34%が実施しており、特に女性の実施率(40%)は男性(27%)を大きく上回っています。
プロフィールや投稿の公開範囲を見直し、個人情報が過度に公開されていないか確認することは、誹謗中傷だけでなく、なりすまし被害を防ぐうえでも重要な一手です。
自分の顔写真や勤務先などが誰でも見られる状態になっていないか、一度チェックしてみることをおすすめします。
対策4:つながりの管理(ブロック・ミュート)(実施率31%)
「つながりの管理(ブロック等)」は31%が実施している対策です。
政府広報オンラインでは、誹謗中傷を受けた際にまず取るべき対処として、ミュートやブロックなどで相手を「見えなくする」ことを勧めています。
ミュートは相手に知られずに投稿を非表示にするもの、ブロックは相手とのつながり自体を断つものです。それぞれ名称や操作方法はサービスによって異なるため、利用しているアプリの設定画面で確認しておくと安心です。
対策5:情報を鵜呑みにせずファクトチェックする(男性26%・女性20%)
「情報の確認・ファクトチェック」は男性26%、女性20%と、他の項目とは逆に男性の実施率が高い傾向が見られました。
誰かの投稿をそのまま信じて再投稿(リポストなど)してしまうと、結果的にデマや誹謗中傷の拡散に加担してしまうことがあります。
政府広報オンラインも、投稿された内容を正しく見極め、慎重に投稿・再投稿するよう呼びかけています。「知らず知らずのうちに他人を傷つけているかもしれない」という視点は、意外と忘れがちなので意識しておきたいところです。
対策6:相談相手を持っておく(女性12%・男性8%)
意外と見落とされがちですが、「相談相手がいる」ことも立派な対策のひとつです。実施率は女性12%、男性8%と、女性のほうがやや高い結果でした。
一人で悩みを抱え込むと、冷静な判断がしづらくなります。家族や同僚など、SNSのことを気軽に話せる相手を普段から持っておくだけでも、いざというときの対応が早くなります。
対策7:過去の投稿を定期的に整理・削除する
「過去の投稿の整理・削除」は、1日に複数回SNSを利用する層で17%という結果でした(全体値は公表されていません)。
過去の投稿の中には、今見ると不用意な表現や、個人が特定されやすい情報が含まれていることもあります。定期的に見直して整理することは、なりすましや誹謗中傷の「材料」を減らすことにもつながります。
対策8:なりすましに気づいたらすぐに証拠を残す
なりすまし被害に関する専門解説によれば、なりすましアカウントを発見した際にまずすべきことは証拠の保全です。
なりすましアカウントは通報後に運営者自身が削除してしまうことがあり、証拠が消えると後の法的手続きが困難になるためです。
具体的には、プロフィール画面や投稿内容を「日時・URL・アカウント名」が分かる形でスクリーンショットに残し、できるだけ早めに各SNSの通報・削除申請を行うことが望ましいとされています。
X(旧Twitter)、Instagram、Facebook、TikTok、YouTubeにはそれぞれ「なりすまし」を理由とした専用の報告フォームが用意されているので、慌てずに手順を踏んで申請することが大切です。
ここまでの8つは、対策そのものであると同時に「誰かに相談できる状態を作っておく」という点でも共通しています。次は、実際にトラブルに遭ったときの相談先を見ておきましょう。
いざというときの相談先
- 総務省「違法・有害情報相談センター」:専門の相談員が誹謗中傷の削除方法などを助言
- 法務省「インターネット人権相談受付窓口」:内容に応じて法務局からSNS事業者へ削除要請
- 各SNS内の通報・報告フォーム:なりすまし・誹謗中傷それぞれに専用窓口あり
一人で抱え込まず、電話・メール・SNS・Webチャットなどで、誰にも知られずに相談できる窓口があることを頭の片隅に置いておきましょう。
なりすましや誹謗中傷は法的にどう扱われるのか
なりすまし被害は「いたずら」で済まされるものではなく、法的な責任を問われる可能性がある行為です。関係する法律を整理すると、次のようになります。
- 名誉毀損罪(刑法第230条):事実を摘示して他人の社会的評価を下げた場合に成立しうる
- 侮辱罪(刑法第231条):2022年7月7日の法改正で法定刑が引き上げられ、1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金が科されるようになった
- 不正競争防止法:なりすましの内容によっては抵触する可能性がある
また、匿名の投稿であっても技術的に発信者を特定できるため、民事上・刑事上の責任を問われる可能性があります。
さらに2022年10月1日からは、プロバイダ責任制限法の改正によって発信者情報開示請求の手続きが簡易・迅速化され、以前より短期間で投稿者を特定できるケースが増えています。
「匿名だから何を言っても大丈夫」という考えは、もはや通用しないと理解しておく必要があります。
世間の反応・注目ポイント|対策の男女差と「特にない」23%の実態
モバイル社会研究所の調査結果を見て個人的に興味深いのは、SNS利用者全体のうち「特にない(対策をしていない)」と答えた人が23%、つまりおよそ4人に1人に上っている点です。
先ほど触れた「1日1回以下の利用層に限った24%」とは別の、全体集計としての数値です。両者はほぼ近い値ですが、集計している母集団が異なります。
SNSを日常的に使っていても、具体的な対策を意識していない人がこれだけいるという事実は、裏を返せば「対策さえすればトラブルのリスクをある程度減らせる余地がまだ大きい」ということでもあります。
また、性別によって実施している対策の傾向が異なる点も興味深いところです。女性は「不用意な投稿をしない」「公開範囲の設定」「相談相手がいる」が高く、男性は「情報の確認・ファクトチェック」が高いという結果は、SNSとの向き合い方に男女で違いがあることを示しています。
考察:40代会社員として感じるSNSトラブル対策のリアル
ここからは筆者としての率直な所感です。
僕自身、会社員としてSNSを仕事にもプライベートにも使っていますが、正直なところ「公開範囲の設定」や「二段階認証」を最初からきちんとやっていたわけではありません。
同僚がなりすまし被害に近い状況(顔写真を無断で使われたアカウントから知人にDMが届いた)を経験したのをきっかけに、慌てて自分のアカウントを見直した記憶があります。
個人的には、対策8つの中でも「不用意な投稿をしない」と「パスワードの管理・変更」の2つが、コストをかけずにすぐ始められる点で優先度が高いと考えています。
一方で、公開範囲の設定やつながりの管理は、一度やって終わりではなく、定期的な見直しが必要な作業です。スマホのカレンダーに「3か月に1回、SNS設定を見直す日」を入れておくのも一つの方法だと思います。
考察としてもう一つ加えておきたいのは、2022年10月のプロバイダ責任制限法改正の実務的な意味です。改正前は発信者情報の開示に訴訟を2段階(発信者情報の仮処分と、その後の裁判)踏む必要があり、投稿者の特定までに半年から1年近くかかるケースも珍しくありませんでした。改正後はこれが「発信者情報開示命令」という一つの非訟手続きにまとめられ、手続きが簡易・迅速化されています。
この制度変更を踏まえると、「バレないだろう」という軽い気持ちでの誹謗中傷に対して、社会全体がより厳しい目を向けていく方向に進んでいくと筆者としては予想しています。かつては泣き寝入りするしかなかったケースでも、今は法的な手段で加害者が特定される可能性が制度面から高まっていると考えられます。
筆者としては、加害者にならないための心がけと、被害者になったときの初動対応(証拠保全・通報・相談)の両方をセットで知っておくことが、これからのSNSとの付き合い方において欠かせない前提になっていくと考えます。
まとめ
SNSトラブルを防ぐための具体策として、不用意な投稿をしない(57%)、パスワードの管理・変更(43%)、公開範囲の設定(34%)、つながりの管理(31%)、ファクトチェック、相談相手を持つこと、過去投稿の整理、なりすまし時の証拠保全という8つのポイントを紹介しました。
NTTドコモ モバイル社会研究所が2026年6月8日に公開したレポート(調査時期は2025年2月、対象は全国15〜59歳のSNS利用者4,031人)では、性別や利用頻度によって実施している対策に違いがあることも分かっています。
万が一トラブルに巻き込まれた場合でも、政府広報オンラインが紹介する相談窓口や、発信者情報開示請求といった法的な手段があることを知っておけば、一人で抱え込まずに済みます。
まずは自分のSNSアカウントの設定を一つずつ確認するところから始めてみてください。
なお、この記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。SNS各社の仕様や表示は変更される場合があるため、最新情報は各サービスの公式ヘルプもあわせて確認してください。
よくある質問
SNSトラブル対策で一番効果が高いのはどれですか?
調査結果を見る限り、最も多くの人が実施しているのは「不用意な投稿をしない」(57%)で、次いで「パスワードの管理・変更」(43%)です。まずはこの2つから始めるのがおすすめです。
誹謗中傷を受けたら、まず何をすればいいですか?
政府広報オンラインでは、まずミュートやブロックで相手を「見えなくする」こと、そしてSNS事業者への削除依頼や、公的な相談窓口への相談を勧めています。
なりすましアカウントを見つけたらどうすればいいですか?
まずはプロフィール画面や投稿内容をスクリーンショットで証拠保全し、できるだけ早く各SNSの通報機能から削除申請を行うことが推奨されています。

