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SNS誹謗中傷とは?被害の実態と法的な対処法を解説

「SNSで誹謗中傷を受けたけれど、どう対応すればいいか分からない」——そんな悩みを抱えていませんか。

結論から言うと、SNS上の誹謗中傷は名誉毀損罪や侮辱罪に問われる可能性があり、匿名の投稿でも「発信者情報開示命令」という制度を使って発信者を特定し、損害賠償を求めることができます。

さらに2026年1月30日には、SNSでの動画拡散をきっかけに文部科学省が学校向けの緊急通知を発出しており、子どもの世界でも誹謗中傷対策が大きく動いています。

この記事では、SNS誹謗中傷への法的な対処法を中心に、匿名の発信者を特定する仕組み、実際に被害を受けたときの手順、そして2026年1月の文科省通知の内容までを、公的機関の情報をもとに分かりやすく整理します。

この記事でわかること

  • SNS誹謗中傷とはどんな行為を指すのか
  • 誹謗中傷をすると法律上どうなるのか
  • 匿名投稿でも発信者が特定される仕組みと、費用・期間の目安
  • 実際に被害を受けたときの具体的な対処手順
  • 2026年1月の文科省通知が学校に求めた内容
  • 相談できる公的窓口の一覧

まずは、これらを順番に確認していきます。


SNS誹謗中傷とは?批判との違いをまず整理する

SNS誹謗中傷とは、根拠のない悪口や、相手の人格そのものを否定・攻撃するような投稿を指します。

内閣府の政府広報オンライン(2025年8月19日公開)によると、個人の悪口を書き込んだり、それを広めたり、メッセージを送りつけたりする行為が「インターネット上の誹謗中傷」として深刻な社会問題になっているとされています。

批判と誹謗中傷は別物

ここで押さえておきたいのは、批判意見と誹謗中傷はまったく別物だという点です。

相手の主張や行動に対して意見を述べるのは批判ですが、相手の人格を否定したり攻撃したりする言い回しになった時点で、それは誹謗中傷に変わります。

正直なところ、私自身もSNSで感情的な投稿を見かけると「ここまで書いていいのかな」と感じる場面があります。

投稿する側に悪気がなくても、受け取る側は深く傷つくことがあるという前提を、まず持っておく必要があります。

「拡散」も加担になりうる

他人の投稿をそのまま「リポスト」「リツイート」「リグラム」などの機能で拡散した場合も、誹謗中傷の拡散に加担したとみなされる可能性がある点は、意外と見落とされがちです。

自分では発信していなくても、拡散した時点で責任を問われるケースがあるということです。

筆者としては、この「拡散も加担になる」という考え方こそが、SNS時代の誹謗中傷を分かりにくくしている要因だと感じています。

新聞やテレビの時代であれば、発信者ははっきりしていました。しかしSNSでは、最初の投稿者よりも、拡散した無数のユーザーの方が、結果的に被害を大きくしてしまうことが少なくありません。


誹謗中傷をするとどうなる?名誉毀損罪と侮辱罪の厳罰化を確認

SNS上で根拠のない悪口を投稿すると、名誉毀損罪や侮辱罪に問われたり、高額の慰謝料を請求されたりすることがあります。

特に注意したいのが侮辱罪です。

インターネット上の誹謗中傷など悪質な侮辱に厳正に対処するため、侮辱罪の法定刑の引き上げが行われ、2022年(令和4年)7月7日から施行されています。

以前は「拘留または科料」のみだった侮辱罪ですが、法改正により厳罰化された点は、SNS利用者として知っておくべき重要な変化です。法律の詳細は、法務省が公表している「侮辱罪の法定刑の引上げ Q&A」で確認できます。

個人的には、この厳罰化の背景には、SNSの利用者数が拡大し続けてきたことが強く関係していると考えています。

昔はi-modeで友人とメールをするくらいだったコミュニケーションが、今では不特定多数に向けて発信・拡散される時代になりました。発信できる相手の規模が数十人から数百万人に変わったことで、一つの悪口が与えるダメージの大きさも、法律が想定していた範囲を超えてしまったのではないか、というのが筆者の見立てです。

匿名だからといって何を言ってもいいわけではなく、技術的に投稿の発信者は特定できるとされています。

「有名人だから何を言われても仕方ない」という考え方を持つ人も一部にいますが、相手が芸能人や著名人であっても、人格を否定・攻撃する投稿や拡散が許されるわけではないと、政府広報オンラインでも明確に示されています。


匿名なら安全?発信者情報開示命令の仕組みと費用・期間の目安

「匿名アカウントだからバレないだろう」と考える人は少なくありません。

しかし結論としては、匿名の投稿であっても、民事上・刑事上の責任を問われる可能性があります。

これまでの手続きが抱えていた課題

これまで、匿名の発信者を特定して損害賠償請求を行うには、「投稿サイトへの仮処分」と「接続プロバイダへの本訴訟」という2段階の裁判手続きが必要とされ、時間も手間もかかるとされてきました。

ですが法律の改正により、2022年(令和4年)10月1日から「発信者情報開示命令」という新しい制度が始まっています。

発信者情報開示命令で何が変わったか

この制度では、訴訟ではなく非訟手続きとして一体的に審理が進められ、さらにサイト側から接続プロバイダの情報を得るための「提供命令」も同じ手続きの中で申し立てられるようになりました。

つまり、以前は別々に進めていた2つの手続きを、1つの手続きの中でまとめて進められるようになったということです。

この改正は「情報流通プラットフォーム対処法」と呼ばれる制度に関連するもので、総務省のウェブサイトでも詳しく解説されています。

筆者としては、この制度改正の実務上の意味は非常に大きいと考えています。これまで被害者は、弁護士に相談しても「時間もお金もかかるので慎重に検討してください」と言われるケースが多かったはずです。手続きが一本化されたことで、被害を受けた人が「まず相談してみよう」と一歩を踏み出しやすくなった、という心理的なハードルの低下も見逃せない変化だと感じています。

費用・期間はどのくらいかかるのか(目安)

ここは筆者の私見も交えた一般的な目安になりますが、弁護士に依頼して発信者情報開示命令を申し立てる場合、着手金・実費を含めて数十万円程度がかかることが多いと言われています。裁判所や事案の複雑さによって幅があるため、あくまで参考程度に考えてください。

期間についても、開示命令からプロバイダの保有ログの開示までは、早ければ数か月、ログの保存期間ぎりぎりの案件や争いがある場合は半年以上かかることもあるとされています。

個人的には、この「費用と時間がゼロにはならない」という現実も、被害者側は事前に知っておいたほうがよいと考えています。すべてのケースで即座に発信者が特定できるわけではなく、証拠保全(スクリーンショットの保存など)を早めに行っておくことが、後の手続きをスムーズにする鍵になると感じています。

つまり、ミュートやブロック、削除依頼だけで解決しない悪質なケースでは、発信者を特定して法的措置に踏み切るという選択肢が、以前より現実的になったということです。「どうせ特定できないから」という油断は、今のSNS環境では通用しにくくなっていると考えられます。


もし誹謗中傷を受けたら?具体的な対処法3ステップ

実際にSNSで誹謗中傷を受けたとき、感情的に反論すると状況が悪化しやすいとされています。

まずは冷静に、次の3つの対処を検討してみましょう。

  • ミュートやブロックなどで相手を「見えなくする」
  • SNS事業者に投稿削除を依頼する
  • 信頼できる人や公的な相談窓口に相談する

ミュート・ブロックで距離を取る

ミュートは相手に知られずに投稿を非表示にする機能、ブロックは相手とのつながり自体を断つ機能です。返信やコンタクトができる相手を制限できる機能を備えたSNSもあります。

名称や操作方法はサービスやアプリによって異なるため、自分が使っているSNSでの設定方法を一度確認しておくと安心です。

投稿削除を依頼する

可能であれば、投稿者本人に削除を依頼する方法もありますが、無理に直接連絡を取ることは避けたほうがよいとされています。

該当する投稿のURLをメモし、画面のスクリーンショットや動画を保存したうえで、SNS内の「通報」「報告」「お問い合わせ」といったメニューから削除依頼を行う流れが基本です。

筆者としては、削除依頼への対応スピードはSNS事業者によって差があると感じています。大手プラットフォームほど通報窓口や自動判定の仕組みが整っている一方、小規模なサービスでは対応に時間がかかったり、日本語での問い合わせ窓口が分かりにくかったりすることもあります。そのため、削除依頼だけに頼らず、証拠保全と並行して進めることをおすすめします。

一人で抱え込まず相談する

炎上や誹謗中傷を受けると、まるで世の中全員が自分を攻撃しているように感じてしまうことがあります。

しかし、2019年度(令和元年度)版の情報通信白書の研究結果によれば、炎上投稿に直接参加する人は、ごく限られた一部の人に過ぎないとされています。

不安なとき、辛いときは、一人で抱え込まず、次のような公的窓口に相談することをおすすめします。

| 相談窓口 | 特徴 |
|—|—|
| 違法・有害情報相談センター | 削除方法などを専門相談員が助言 |
| 法務省 インターネット人権相談受付窓口 | 人権相談全般。法務局からの削除要請も |
| セーファーインターネット協会「ネットの誹謗中傷」 | サイト側への削除等の対応を促す通知 |
| 厚生労働省「まもろうよこころ」 | 電話・メール・チャット・SNSでの相談窓口案内 |
| 警察相談専用電話「#9110」 | 全国統一番号の警察相談窓口 |

これらの窓口は、電話・メール・SNS・Webチャットなどで、誰にも知られずに相談できる仕組みになっています。


【2026年1月30日】文科省通知は何が起きて何を求めたのか

SNS誹謗中傷の問題は、大人同士のトラブルにとどまりません。

2026年1月、栃木県や大分県などで、生徒同士の暴力行為を撮影したとされる動画がSNS上で拡散される事案が相次いで報道されました。

これを受けて文部科学省は、こども家庭庁や総務省などと対応策を協議したうえで、2026年1月30日、都道府県教育委員会などに向けて「SNS上における暴力行為等の動画の投稿・拡散を受けた緊急の対応等について」と題する通知を発出しています。

通知の文書番号は「8文科初第2109号」で、発出者は文部科学省初等中等教育局長です。令和8年(2026年)に発出された文書であるため、元号のプレフィックスは「8」となります。

この通知が出される前段として、2026年1月14日には緊急の都道府県・指定都市教育委員会教育長会議が、同年1月16日にはいじめ防止対策に関する関係省庁連絡会議が開かれています。

通知が学校に求めた4つの内容

通知が学校及びその設置者に求めた内容は、大きく4つに整理できます。

1つ目は、令和7年度中に、児童生徒へのアンケート調査、1人1台端末を活用した心の健康観察、学級担任やスクールカウンセラーによる面談などを通じて、見過ごされている暴力行為やいじめがないかを改めて確認することです。

2つ目は、暴力行為やいじめを決して許容せず、加害行為が暴行罪や傷害罪などの犯罪行為に該当し得ることを児童生徒に指導するとともに、必要な場合には警察と連携する方針を学校として明確にすることです。

3つ目は、被害を受けた児童生徒の安全確保と心身のケアを最優先にしつつ、加害児童生徒に対しては学校教育法に基づく懲戒や出席停止等を含めた毅然とした対応を行うことです。

4つ目は、SNS等における誹謗中傷などの人権侵害のおそれを踏まえて、令和7年度中に情報モラル教育を改めて実施することです。

通知では、SNS等における悪質な投稿は、その内容によっては名誉毀損罪や侮辱罪等の刑罰の対象となり得ると、明確に記載されている点も見逃せません。

さらに、暴力行為やいじめの動画がSNS等で確認された場合には、文部科学省初等中等教育局児童生徒課への報告も求められています。

大人だけでなく、子どもたちが使うSNS環境においても、誹謗中傷は「軽い悪ふざけ」では済まされない行為として、行政の対応が具体化してきているということです。


子ども向けの相談体制はどう整っている?

文部科学省は、児童生徒がいつでも気軽に悩みを相談できるよう「24時間子供SOSダイヤル」を全都道府県・指定都市教育委員会で整備しています。

いじめだけでなく、暴力行為やSNSでのトラブルを含む子どものSOS全般について、夜間・休日を問わず電話で相談できる体制です。

※画像はAIによるイメージ

また、若年層の多くがSNSを主なコミュニケーション手段として活用している状況を踏まえ、2018年(平成30年)以降、SNS等を活用した児童生徒向けの相談体制の整備支援も進められています。

2026年1月30日の通知では、こうした既存の相談窓口を学校内の見やすい場所に掲示したり、1人1台端末を活用して周知したりすることも、学校側に改めて求められています。

筆者としては、相談窓口そのものは以前から用意されていたものの、今回の通知によって「学校が児童生徒や保護者にきちんと周知する」という運用面が強化された点に意味があると感じています。窓口があることを知らなければ、どれだけ制度が整っていても使われないままだからです。


総務省の啓発キャンペーンと社会からの反応

SNS誹謗中傷に関しては、総務省が「#NoHeartNoSNS(ハートがなけりゃSNSじゃない!)」というキャンペーンを展開しており、啓発動画なども公開されています。

また、政府広報オンラインのコラムでは、インターネットネイティブと呼ばれる現代の子どもたちであっても、ルールやモラルに欠けた行動をしてしまうケースが少なくないと指摘されており、家庭でのSNSとの付き合い方の話し合いが呼びかけられています。

こうした動きから、SNS誹謗中傷は「一部の悪質な投稿者だけの問題」ではなく、SNSを利用するすべての人が向き合うべきテーマとして扱われるようになってきていると感じます。


佐藤翔太の考察:SNS誹謗中傷はなぜ今、より深刻になっているのか

ここからは私自身の考えをお伝えします。

私はこれまで、家電量販店のスマホ相談コーナーや社内のITサポートで、多くの人のSNSトラブルに関わってきました。

その経験から感じるのは、誹謗中傷の問題が「法律の厳罰化」と「学校現場への波及」という2つの方向で、同時に深刻化しているということです。

侮辱罪の法定刑引き上げ(2022年7月施行)や、発信者情報開示命令の創設(2022年10月施行)は、いずれも「匿名だから許される」という発想が、法律上も通用しなくなってきたことを示しています。

一方で、2026年1月の文部科学省通知が示すように、SNS誹謗中傷は今や大人だけの問題ではなく、児童生徒同士のトラブルが動画として拡散され、新たな人権侵害を生むという、より複雑な形で表面化しています。

個人的には、この2つの流れが同時に進んでいることに、危機感と同時に「変化の兆し」も感じています。

危機感というのは、SNSの拡散力の強さゆえに、一つの投稿や一本の動画が想像以上に多くの人を傷つけてしまうリスクが、これまで以上に高まっているという点です。

変化の兆しというのは、相談窓口や発信者特定の仕組みが以前より整い、被害者が「泣き寝入りしなくてよい」環境が、少しずつ現実的になってきているという点です。

筆者としては、今後もSNS事業者側の通報・削除フローの改善や、学校での情報モラル教育の強化が進んでいくと見ています。特に、開示命令の手続きが一本化されたとはいえ、費用や期間の負担が完全になくなったわけではないため、弁護士への早期相談や証拠保全の重要性は、今後もあまり変わらないだろうと考えています。

同時に、投稿する側の一人ひとりが「SNSの向こうにも生身の人間がいる」という当たり前の前提を、日常的に意識し続けることが、法律の整備以上に大切だと考えています。


まとめ

SNS誹謗中傷は、名誉毀損罪や侮辱罪の対象になり得るだけでなく、2022年の法改正により、発信者情報開示命令という制度を通じて匿名でも発信者が特定されやすくなっています。

被害を受けた場合は、ミュートやブロックで距離を取り、必要に応じてSNS事業者への削除依頼や、違法・有害情報相談センターなどの公的窓口への相談を検討しましょう。

また、2026年1月30日の文部科学省通知(8文科初第2109号)が示すように、学校現場でも児童生徒間の暴力行為やいじめの確認、情報モラル教育の強化が進められています。

一人で抱え込まず、まずは相談できる窓口があることを知っておくことが、被害を最小限に抑える第一歩になります。

なお、本記事は2026年7月時点で確認できる公的機関の情報をもとに作成しています。法律や制度の運用は変更される場合があるため、最新の内容は法務省や総務省、文部科学省などの公式情報もあわせて確認してください。


よくある質問

Q. SNSで誹謗中傷を受けたら、まず何をすればいいですか?

まずはミュートやブロックで投稿が見えないようにし、該当投稿のスクリーンショットを保存しておくことをおすすめします。その後、SNS事業者への削除依頼や、公的な相談窓口への相談を検討しましょう。

Q. 匿名アカウントからの誹謗中傷でも、相手を特定できますか?

はい。2022年10月の法改正で創設された「発信者情報開示命令」という制度により、手続きが以前より一体化・迅速化されており、匿名の投稿でも技術的に発信者を特定できるとされています。費用や期間には幅があるため、早めに弁護士へ相談すると安心です。

Q. 有名人の悪口なら、誹謗中傷にあたらないのですか?

いいえ。相手が芸能人や有名人であっても、人格を否定・攻撃する投稿や拡散は誹謗中傷にあたる可能性があります。「目立つ存在だから仕方ない」という考え方は通用しないとされています。

Q. 子どもがSNSでの誹謗中傷やいじめの動画拡散に関わった場合、学校は対応してくれますか?

2026年1月30日付の文部科学省通知(8文科初第2109号)により、各学校では令和7年度中にアンケート調査や面談などによるいじめ・暴力行為の確認、加害児童生徒への毅然とした対応、情報モラル教育の実施が求められています。「24時間子供SOSダイヤル」など、学校外の相談窓口も併せて活用できます。

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