結論から言うと、いま注意すべきSNSトラブルは「投資・ロマンス詐欺」「誹謗中傷」「子どもの被害」「企業の炎上」「偽情報の拡散」の5パターンで、被害額でもっとも深刻なのは投資・ロマンス詐欺です。
同世代の僕らが油断しがちなのは、実は10代の子どもよりも自分自身だったりします。
これは大げさな話ではなく、僕自身がSNS経由の勧誘メッセージを受け取った経験から実感していることです。
この記事では、警察庁や総務省の公表資料をもとに、実際に起きているSNS被害の事例をタイプ別に整理し、それぞれの対処法までまとめてご紹介します。
なお、この記事は2026年7月時点で公表されている統計・事例をもとに作成しています。最新の数値や個別事件の続報は、警察庁や各都道府県警の公式サイトでも確認してみてください。
SNSトラブル事例集とは?まず全体像をつかもう
この章のポイント:SNSトラブルは大きく5パターンに分かれ、それぞれ狙われやすい人・対処法が違います。
「SNSトラブル」と一口に言っても、中身はかなり幅広いです。
大きく分けると、次の5パターンに整理できます。
- お金をだまし取られる詐欺系(投資詐欺・ロマンス詐欺)
- 悪口や誹謗中傷によるトラブル
- 個人情報や写真の流出・特定被害
- 子どもが巻き込まれる性的被害・高額課金
- 企業公式アカウントの炎上と偽情報の拡散
同世代の友人に説明するつもりで言うと、「昔は掲示板の書き込みが怖かったけど、今はお金そのものが動く分、被害が一気に大きくなっている」というのが正直な印象です。
それぞれのテーマは単体でも記事一本になるくらい奥が深いので、この記事では全体像をつかんでいただき、気になるテーマがあれば個別により詳しく調べてみるのがおすすめです。
まずは、それぞれの事例を具体的に見ていきましょう。
SNS型投資・ロマンス詐欺の事例|いくら被害が出ていて、どう対処すればいいのか
この章のポイント:2024年の被害額は約1,272億円と過去最大級で、被害者の中心は40〜60代です。
警察庁が2025年5月23日に公表した確定値によると、2024年(令和6年)中のSNS型投資・ロマンス詐欺の認知件数は10,237件、被害額は約1,271.9億円にのぼります。
前年と比べて件数・金額とも著しく増加しており、被害者の年齢層は男女ともに40歳代から60歳代が中心、既遂1件あたりの平均被害額は1,242.7万円と、1,000万円を大きく超えています。
つまり、若い人よりも「ある程度お金を持っている、僕らと同世代からその上の世代」が主なターゲットになっているということです。
手口としては、まずSNSやマッチングアプリで接触してきて、やり取りを重ねる中でLINEなど別のツールに誘導し、そこで信頼関係を築いてから投資話や送金を持ちかけてくるパターンが典型です。
具体的な検挙事例としては、大阪府警が2024年7月23日に公表した事件があります。
SNSを使って投資を勧誘する詐欺グループの拠点を一斉摘発し、大阪市西区の男(43)ら男女8人を詐欺容疑で逮捕したというもので、2グループで計80人以上が関与していたとみられ、グループ全体の被害総額は9億円を超えると見られています。
逮捕容疑の一つは、2024年2〜3月に愛知県の20代女性に対し、SNSでのやり取りを通じて投資の助言指導料や商材購入名目で金銭をだまし取った疑いというものでした。
もう一つ、警察庁が令和7年版の警察白書で紹介している事例もあります。
ナイジェリア国籍の男(61)らが、女性になりすましてSNSで知り合った相手に「資産譲渡のための手数料が必要」という虚偽のメールを送り、約60万円をだまし取ったというもので、2024年7月までに警視庁が同容疑者を含む3人を詐欺罪などで逮捕しています。
実は僕自身、以前SNSの投稿に「知り合いの紹介」という体で近づいてきたアカウントから、投資話を持ちかけられたことがあります。
最初は普通の世間話から始まり、数週間かけて信頼関係を作られてから話を切り出されたので、正直「あ、これは危ないやつだ」と気づくまでに少し時間がかかりました。
冒頭で「10代の子どもよりも自分自身の方が危ない」と書いたのは、まさにこの経験があるからです。
個人的には、「知らない人からいきなり投資の話が来たら怪しい」というのは分かっていても、恋愛感情や親近感を持たせてから話を切り出されると、冷静な判断が難しくなるのだろうと感じます。
対策としては、SNS上で知り合った相手から投資や送金を持ちかけられたら、その時点で一度立ち止まることが重要です。
具体的には、以下の3つを意識すると良いと考えています。
- お金の話が出た時点で、一度その相手とのやり取りを保存し、家族や第三者に見せる
- 「他では絶対に儲からない」「今だけ」といった急かす言葉が出たら距離を置く
- 少しでも不安を感じたら、警察相談専用電話(#9110)や消費生活センターに相談する
政府は2024年6月に「国民を詐欺から守るための総合対策」を決定し、SNS事業者やマッチングアプリ事業者への本人確認の厳格化、金融機関との連携強化などを進めている段階です。
誹謗中傷・悪口の書き込みトラブル|どんな責任を負うのか
この章のポイント:拡散や引用だけでも法的責任を問われることがあるため、「自分は書いていない」は言い訳になりません。
SNSでの誹謗中傷は、もっとも身近なトラブルのひとつです。
政府広報のインターネットトラブル事例集でも、「有名人の悪口を投稿する人はいるけれど」「良かれと思って拡散した情報がデマだった」といったテーマが取り上げられています。
人の名誉や名誉感情を傷つけた場合、投稿した本人が損害賠償責任を負うことがあります。
ここでいう名誉とは「周囲からの評価」、名誉感情とは「本人の自尊心やプライド」のことです。
自分で本文を投稿していなくても、他人の投稿にコメントをしたり、紹介・引用しただけでも違法となるケースがある点は、意外と知られていません。
「自分は拡散しただけだから関係ない」という考え方は、実は法律上通用しないことがあるわけです。
もしSNS上で誹謗中傷などの被害を受けた場合は、次のような対処方法が考えられます。
- 運営者に対して投稿の削除要請をする
- 投稿した人に対して損害賠償を請求する
- 投稿した人の処罰を求める
「投稿は匿名だから誰が書いたか分からない」と思われがちですが、必要な手続きを踏めば投稿者を特定できる場合もあります。
筆者としては、悪口や中傷は「軽い気持ちでの一言」がきっかけになることが多いと感じます。
文字だけのやり取りは感情のニュアンスが伝わりにくく、送る側と受け取る側で受け止め方が大きくずれることがある、というのは同世代の友人ともよく話す話題です。
僕自身、以前ちょっとした軽口のコメントを投稿したら、思いのほか相手を傷つけてしまい、慌てて削除して謝罪したことがあります。
「自分は悪気がなかった」というのは、被害を受けた側にとってはあまり関係のない話なのだと、その時に痛感しました。
子どものSNSトラブル事例|いじめ・高額課金・性的被害への対処法
この章のポイント:6〜12歳のSNS利用率は年々上がっており、家庭でのルール作りが実質的な対策になります。
自分の子どもがいる同世代の方は、特に気になるテーマだと思います。
総務省の令和4年通信利用動向調査によると、6〜12歳で自分のスマートフォンを持っている割合は42.6%、そのうちSNSを利用している割合は41.8%で、前年度より5%増加しています。
ニフティが2020年に実施した「子どものSNS利用に関するアンケート」(有効回答2万2,276件)でも、子どもがいる保護者のうち48%が「子どもがSNSを利用している」と回答していました。
実際に子どもがSNSトラブルに巻き込まれた経験があると答えた人は約5%(実数280人)で、その内訳は「ネット上のいじめ」が34.3%ともっとも多く、次いで「詐欺メールや詐欺サイトに騙されそうになった・騙された」「親の許可なく課金した」という結果でした。
具体的な小学生のトラブル事例としては、次のようなものが挙げられます。
- SNSグループから一人を除外したり悪口を書き込んだりして、学校でのいじめに発展するケース
- 無料ゲームから有料サイトに誘導され、保護者のクレジットカードで高額な課金が発生するケース
- SNSにアップした写真の背景や瞳に映った景色から住所や学校が特定され、ストーカー被害につながるケース
- 同年代だと思ってやり取りしていた相手が実は大人で、実際に会いに行ってしまい連れ去りや性的被害に遭うケース
警察庁の資料でも、SNSに起因する児童の性的搾取等の被害児童数は2024年(令和6年)で1,486人と、前年より減少したものの依然として高い水準にあり、特に小学生の被害児童数が増加傾向にあると指摘されています。
対策としては、ペアレンタルコントロールでフィルタリングや利用時間の制限、アプリ内課金の制限をかけることに加えて、「スマートフォンを子ども部屋に持ち込まない」といった家庭内ルールを決めることが有効です。
また、インスタグラム・X・YouTube・TikTokには年齢制限があり、12歳以下ではアカウントを作成できない点も、あらためて確認しておきたいポイントです。
我が家でも、子どものスマートフォンにはペアレンタルコントロールをかけたうえで、「知らない人からのメッセージが来たら、内容にかかわらず必ず一度見せる」というルールを決めています。
個人的には、子どもを頭ごなしに叱って監視を強めるよりも、「困ったときにすぐ相談できる雰囲気づくり」の方が結果的にトラブルの早期発見につながるのではないかと感じています。
企業公式アカウントの炎上事例|個人にも関係する話
この章のポイント:炎上は不祥事だけでなく、報道の見出しや配慮不足の一言からも起こり、初動の誠実さが評価を分けます。
「企業の炎上なんて自分には関係ない」と思うかもしれませんが、実は炎上の巻き添えで一般ユーザーが誹謗中傷を受けるケースもあるため、他人事ではありません。
2024〜2025年に実際に起きた炎上事例をいくつか挙げます。
| 企業・時期 | 内容 | 炎上後の対応・影響 |
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| 亀田製菓(2024年12月) | フランスの通信社が配信したインタビュー記事で、外国出身の会長CEOの発言が「移民のさらなる受け入れを」という見出しで報じられ、意図とずれて拡散 | ネット上で批判が広がる一方、報道の切り取りを指摘する声も |
| 良品計画(無印良品、2025年3月) | オンラインストアで女性用ショーツのみモデルが着用した状態の商品写真を掲載し、一部から不快感の声 | 数日後、マネキン着用の写真に差し替え |
| キリンホールディングス(2025年1月) | 芸能人のトラブル報道を受け、フジテレビへのCM出稿停止を継続すると発表 | SNS上では判断を評価する声が多く寄せられた |
| スシロー(2025年) | 同じ報道を受け、起用していたタレントの広告を一時取りやめ | 対応が過剰だったとして批判を受け、後日謝罪 |
この一覧を見ると分かるとおり、炎上の原因は「明らかな不祥事」だけではなく、「報道の見出しの切り取り」「配慮不足の表現」「不確実な情報への過剰反応」など、意図せず巻き込まれるパターンも多いことが分かります。
一方で、良品計画のように早い段階で写真を差し替えたケースや、キリンホールディングスのように事実確認をした上で一貫した姿勢を示したケースは、結果的に評価につながっています。
筆者としては、炎上対応で明暗を分けるのは「初動の速さと誠実さ」だと感じます。
スシローの事例のように、不確実な情報に反応して対応した後、過剰だったと分かって謝罪するケースもありますが、事実確認を先に行い、慎重に判断してから動く姿勢の方が、結果的に信頼を損なわずに済むというのは、複数の事例に共通するポイントです。
個人情報の悪用・偽情報の拡散という新しいSNS被害
この章のポイント:災害時の偽情報は善意の拡散のつもりでも、実際の救助活動を妨害する加害行為になり得ます。
見落とされがちですが、生成AIの普及によって、新しいタイプのSNS被害も広がっています。
海外の事例では、SNS上の生成AI機能を使って人物の画像を加工し、性的な画像を作成・拡散する投稿が問題視され、複数の国の当局が調査を開始したケースが報告されています。
対象には実在の人物や、未成年に見える人物の画像も含まれていたとされ、AIとSNSを組み合わせたサービスの安全対策の不足が課題として指摘されました。
また、災害時の偽情報も深刻な問題です。
2024年1月1日に発生した能登半島地震の際、被災者を装って「倒壊した建物の下に親族が挟まれている」という虚偽の救助要請をXに投稿した埼玉県八潮市の男性会社員(当時25歳)が、石川県警により2024年7月24日、偽計業務妨害容疑で逮捕されました。
この投稿を受けて機動隊が現場に向かいましたが、実際には該当する被害はなかったとされています。
その後、輪島区検が同年10月7日付で略式起訴し、輪島簡裁は10月9日、罰金20万円の略式命令を出しています。
供述によると、投稿の動機は「震災に便乗して自分の投稿に注目してほしかった」というものでした。
こうした偽情報は、善意の拡散のつもりでも、結果的に混乱を広げる加害行為になってしまう点に注意が必要です。
SNSトラブルに巻き込まれないための心がけと対処法
ここまでの事例を踏まえると、共通する予防のポイントが見えてきます。
- 知らない相手からの投資・送金の話には、その場で応じず一度距離を置く
- 悪口・誹謗中傷につながる投稿はしない、拡散もしない
- 写真や動画を投稿するときは、背景や位置情報から場所が特定されないか確認する
- 子どものスマートフォン利用には、ペアレンタルコントロールと家庭内ルールの両方を用意する
- 公式アカウントの運用では、投稿前のチェック体制と、問題発生時の誠実な初動対応を意識する
- 災害時などの緊急情報は、公式発表や複数の情報源で裏取りしてから拡散する
「これくらい大丈夫だろう」という油断が、被害にも加害にもつながるという点は、どの事例にも共通しています。
不安なときは一人で抱え込まず、警察相談専用電話や消費生活センター、各SNSの通報機能などを早めに使うことも、大切な対処法のひとつです。
SNSトラブルの今後の見通し【考察】
ここからは、記者としての私見を交えた考察です。
まず、SNS型投資・ロマンス詐欺の被害額が1,000億円を超える規模にまで拡大している現状を見ると、これはもはや「一部の人が気をつければよい話」ではなく、社会インフラ全体で対処すべき課題になっていると感じます。
政府は「国民を詐欺から守るための総合対策」に基づき、SNS・マッチングアプリ事業者への本人確認の厳格化や、金融機関間の情報共有の枠組みづくりを進めていますが、大阪府警の一斉摘発のように犯罪グループの摘発が進む一方で、手口も並行して巧妙化しているため、今後もいたちごっこが続く可能性が高いと考えられます。
次に、子どものSNS利用については、スマートフォンの低年齢化に歯止めがかかる気配はなく、むしろ利用率は上昇傾向にあります。
保護者世代である僕らとしては、「使わせない」という選択肢が現実的でなくなっている以上、ペアレンタルコントロールの活用と、家庭内での率直な対話を組み合わせるしかないというのが、我が家でルールを決めてみたうえでの個人的な実感です。
企業の炎上事例については、良品計画やキリンホールディングスの対応を見ていると、SNSの拡散スピードが上がる一方で、事実確認を先行させて落ち着いて判断する姿勢が、結果的にブランドを守るという構図が見えてきます。
これは個人のSNS利用にもそのまま当てはまる話で、少数の攻撃的な意見や不確実な情報に振り回されず、事実関係を落ち着いて確認する姿勢が、被害者にも加害者にもならないための鍵になると筆者は考えます。
生成AIを悪用した画像加工の問題は、今後さらに社会的な注目を集めるテーマになるでしょう。
技術の進歩のスピードに、法整備やプラットフォームの安全対策が追いついていない状況が続く限り、こうした被害は増える可能性があると見ています。
冒頭で触れた僕自身の投資勧誘の経験も踏まえると、「自分は大丈夫」という思い込みこそが一番のリスクだというのが、この記事を通しての率直な実感です。
まとめ
SNSトラブルの事例集を見てくると、投資・ロマンス詐欺、誹謗中傷、子どもの被害、企業の炎上、偽情報の拡散と、被害のパターンは多岐にわたることが分かります。
このうち、被害額で見てもっとも深刻なのは投資・ロマンス詐欺であり、僕ら世代がもっとも警戒すべきパターンだと言えます。
いずれの事例にも共通するのは、「ちょっとした油断」や「軽い気持ちでの行動」がきっかけになりやすいという点です。
同世代の僕らだからこそ、自分自身が被害者になる可能性と、意図せず加害者側に回ってしまう可能性の両方を意識しておく必要があります。
まずは今回紹介した事例と対処法を参考に、自分や家族のSNSの使い方を一度見直してみてはいかがでしょうか。
よくある質問
SNSの投資詐欺は、どんな相手でも起こり得ますか?
年齢や職業に関わらず起こり得ますが、警察庁の統計では40歳代から60歳代の被害が中心となっています。
「自分は詳しいから大丈夫」という思い込みが、かえって油断につながることもあるため注意が必要です。
誹謗中傷の投稿を見つけたら、まず何をすればいいですか?
該当の投稿や日時が分かるスクリーンショットを保存したうえで、SNS運営者への削除要請や、必要に応じて警察・弁護士への相談を検討しましょう。
自分で反論のコメントを書き込む前に、まず記録を残すことが大切です。
子どものSNS利用で、最初に確認すべき設定は何ですか?
まずは利用しているアプリの年齢制限とペアレンタルコントロールの有無を確認しましょう。
そのうえで、「知らない人からのメッセージが来たら見せる」といった家庭内のルールを、子どもと一緒に決めておくことが効果的です。

