結論から言うと、警察庁が公表した2025年(暫定値)のSNS型投資詐欺は認知件数9,538件・被害額1,274.7億円、SNS型ロマンス詐欺は認知件数5,604件・被害額552.2億円で、いずれも前年より大幅に増えています。
「最近SNS絡みの詐欺が増えている気がするけど、実際どれくらいの件数なんだろう」
そう思って検索してきた方も多いのではないでしょうか。
同世代の友人からも、SNS経由の投資話やマッチングアプリでのやり取りについて相談される機会が増えました。
先月(2026年6月中旬)、以前の職場の同僚が見せてくれたInstagramのダイレクトメッセージには「初期費用は不要、月利10%を保証します」という文面がありました。
送り主のアイコンは、テレビで見かける経済コメンテーターの顔写真が使われていたそうです。
昔はi-modeでメールしていた世代からすると、SNSがここまで詐欺の入り口になっているというのは、正直驚きです。
この記事では、警察庁が2026年2月に公表した2025年(暫定値)データを中心に、SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺の最新件数と手口の傾向、そして私たち40代が気をつけるべきポイントを整理していきます。あわせて、内閣府消費者委員会が過去に示した背景データも、時期を明記したうえで補助情報として紹介します。
SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺の最新件数(2025年暫定値)とは?
まず、この記事の中心となる「2025年(暫定値)」の数字から見ていきましょう。
警察庁が2026年2月13日に公表した暫定値によると、2025年の特殊詐欺全体の認知件数は27,758件(前年比+6,715件、+31.9%)、被害額は約1,414.2億円(前年比+695.4億円、+96.7%)と、認知件数・被害額ともに著しく増加しています。
中でも目立つのが「ニセ警察詐欺」で、認知件数10,936件、被害額985.4億円と、特殊詐欺全体の39.4%を占めています。
そしてSNS絡みで特に注目したいのが、次の2つの数字です。
- SNS型投資詐欺:認知件数9,538件(前年比+3,125件、+48.7%)、被害額1,274.7億円(前年比+403.6億円、+46.3%)
- SNS型ロマンス詐欺:認知件数5,604件(前年比+1,780件、+46.5%)、被害額552.2億円(前年比+151.4億円、+37.8%)
両方とも、件数・被害額ともに前年より大きく増えています。
特にSNS型投資詐欺の被害額は1,274.7億円と、特殊詐欺全体の被害額(1,414.2億円)に迫る規模になっており、この1年でSNS経由の投資詐欺がいかに深刻化しているかが分かります。
これは単なる「増加傾向」という言葉では収まらない伸び方だと、筆者としては受け止めています。
投資詐欺とロマンス詐欺、どちらが深刻?数字を比較
2つの詐欺の違いを、2025年(暫定値)の数字で比較してみます。
| 項目 | SNS型投資詐欺 | SNS型ロマンス詐欺 |
|—|—|—|
| 認知件数 | 9,538件 | 5,604件 |
| 前年比(件数) | +48.7% | +46.5% |
| 被害額 | 1,274.7億円 | 552.2億円 |
| 前年比(被害額) | +46.3% | +37.8% |
| 主な特徴 | 広告・DM経由の勧誘 | 暗号資産送金型の急増 |
表を見ると分かる通り、被害額そのものは投資詐欺のほうが2倍以上多い一方で、伸び率自体はどちらも同じくらいのペースで拡大しています。
つまり「どちらか一方だけ気をつければいい」という状況ではなく、両方とも同じスピードで悪化していると捉えるべきでしょう。
最初の接触は「広告」より「ダイレクトメッセージ」が急増(2025年暫定値)
SNS型投資詐欺のデータで特に注目すべきなのが、被害者と詐欺グループが最初に接触した経路です。
2025年(暫定値)の当初の接触手段は、バナー等広告が3,760件(前年比+859件、+29.6%)、ダイレクトメッセージが3,576件(前年比+1,443件、+67.7%)となっており、ダイレクトメッセージを起点とする被害の伸び率が広告を大きく上回っています。
この2つを合わせると、全体の約8割を占めるとされています。
プラットフォーム別に見ると、YouTube・投資サイト・Instagramでのバナー広告、そしてInstagram・LINE・Facebookでのダイレクトメッセージが、被害増加の主な要因として挙げられています。
広告の内容としては、著名人の画像や動画を無断で使用したものが確認されており、「必ずもうかる」「元本保証」といった、金融商品としてはあり得ない断定的な文言が使われているケースもあるとのことです。
こうした表現を見かけたら、それだけで警戒すべきサインだと考えてよいでしょう。
広告であれば「怪しい広告だな」と身構えやすいのですが、ダイレクトメッセージは知人からの連絡と混同しやすく、警戒心が薄れやすいという特徴があります。
SNS型ロマンス詐欺は「暗号資産」への誘導が特徴(2025年暫定値)
ロマンス詐欺(恋愛感情を利用した詐欺)については、暗号資産に絡む被害の伸びが際立っています。
「暗号資産送信型」の認知件数は2,148件(前年比+1,362件、+173.3%)、被害額は246.3億円(前年比+160.8億円、+188.0%)と、いずれも前年から倍以上に増えています。
振込型の暗号資産振込と合わせると、被害交付形態が実質的に暗号資産であるものは、総認知件数の40.2%(前年比+14.3ポイント)、被害総額の47.9%(前年比+21.4ポイント)を占めるまでになりました。
SNSで知り合った相手から、恋愛感情を利用して「一緒に投資をしよう」などと持ちかけられ、暗号資産の送金を求められるパターンが増えていると読み取れます。
実は今年(2026年)5月上旬、以前の職場の同僚から相談を受けたことがあります。
マッチングアプリで知り合った女性から、「海外の投資サイトに暗号資産で入金してほしい」と頼まれているという内容でした。
やり取りの内容を聞くと、最初の1〜2週間はごく普通の恋愛相談のようなメッセージが続き、その後「一緒に将来のために資産形成をしよう」とさりげなく投資の話題に切り替わっていったとのことでした。
暗号資産は仕組みが複雑で、送金してしまうと取り戻すのが極めて難しいという特性があります。
この特性を悪用したロマンス詐欺と暗号資産送金の組み合わせが、この1年で急速に広がっていることが数字からも見て取れます。
SNS関連の消費生活相談も増えている(2020〜2022年のデータ)
ここからは、詐欺に発展する前段階の話として、内閣府消費者委員会が2022年9月に公表した建議のデータを紹介します。
2025年の警察庁データとは時期が異なる、やや古めの参考情報という位置づけです。
建議によると、SNS関連の消費生活相談件数は年々増加しており、2021年には合計で約5万件の相談が寄せられています。
2020年のSNS関連相談件数は約4万件でしたので、1年で約1万件増えた計算になります。
年齢層別では20歳代からの相談が最も多いものの、40歳代・50歳代からも多くの相談が寄せられている、という点は見落とせません。
つまりSNSトラブルは「若者だけの話」ではなく、私たち40代にとっても他人事ではないということです。
年代によってトラブルの中身も異なり、15〜19歳では「通信販売」に関する相談が69.3%、20〜24歳では「他の内職・副業」に関する相談が1,058件で最多、25〜29歳では「賃貸アパート」に関する相談が1,414件で最多となっています(いずれも2021年時点)。
年代が上がるにつれて、美容関連から副業、そして住居関連へと相談内容が移っていくのが分かります。
これは、それぞれの年代が抱えている悩みや関心事に、勧誘のターゲットが合わせられていることの表れだと考えられます。
また、消費者庁が実施した意識調査(2021年度)では、SNS利用者の14.4%が、SNSに表示された広告をきっかけとした商品・サービスの購入でトラブルや困った経験があると回答したとされています。
10人に1人以上が、SNS広告絡みで何らかの困りごとを経験している計算です。
これは決して低い数字ではないと、筆者としては感じます。
なぜSNSトラブルは広がったのか|背景にある3つの要因(2021〜2023年時点の指摘)
件数が増えている背景として、消費者委員会の建議やその後の分析で指摘されている要因が3つあります。
1つ目は、SNSの利用者層が広がったことです。
コミュニケーションのツールとして一般化した結果、事業者にとってもSNSは有力な販売促進のツールになりました。
メッセージ機能を使った勧誘は、メールと同じように「広告」として扱われる場合がありますが、記載された住所や電話番号が実際には連絡の取れないものだったというケースも報告されています。
2つ目は、成年年齢の引き下げです。
2022年4月1日の民法改正により、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。
これにより18歳・19歳でも自分の判断だけで契約できるようになった一方、知識や経験が不足したまま高額契約を結んでしまうリスクが高まっています。
実際、2021年の若者(20歳代)の平均契約購入金額を見ると、20〜24歳で40万円台、25〜29歳では100万円を超えているというデータもあります。
3つ目は、「タイパ」を重視する傾向です。
2023年頃から、30歳代以下を中心に「タイパ(費やした時間に対する成果)」を重視する傾向が強まっているとされています。
じっくり検討する前に契約してしまう若者が一定数いることが、被害の拡大につながっている可能性があると考えられます。
なお、こうした勧誘の実例として、消費者庁は「どなたでも手出しナシで確実に稼いで貰えるお仕事をご紹介しています」といった、誰でも簡単・確実に稼げるかのように見せかける文言を、注意喚起の対象として公表しています。
東京都も令和2年(2020年)1月に、「月収120万円稼げる最新ビジネス」といった、著しく事実に相違する表示をしていた事業者に行政処分を行っています。
「確実」「手出しナシ」「必ず」といった断定的な言葉は、そもそも投資や副業の世界にはそぐわない表現です。見かけた時点で、まず立ち止まって疑ってみることをおすすめします。
トラブルに遭っても相談しない人が多いという課題
データを見ていて筆者として気になったのが、「トラブルを経験しても実際に相談・申出をする人は約4割にとどまっている」という点です(消費者委員会・2022年時点の資料より)。
約6割の若者が「情報があふれていて、正しい情報を判断しにくい」と感じ、約7割が消費者トラブルに対して不安を抱いているというデータもある一方で、実際に公的機関へ相談する人は少数派にとどまっています。
身近な人への相談が中心になっているとされており、公的な相談窓口の存在自体が、まだ十分に浸透していない可能性があります。
これは40代・50代にとっても同じことが言えるのではないでしょうか。
「恥ずかしい」「自分が悪い」と思い込んで、誰にも相談できないまま被害が拡大してしまうケースは、年代を問わず起こり得ると筆者は考えます。
先ほど紹介した元同僚のケースでも、最初は「家族に相談すると心配をかけるから」と一人で抱え込んでいたそうです。
結果的には送金前に気づけたのでよかったものの、もし誰にも相談していなかったらと考えると、正直ヒヤッとしました。
考察|SNS詐欺の件数増加から見えてくること
ここからは、これまでのデータを踏まえた筆者なりの見方をお伝えします。
まず率直に感じるのは、SNSトラブルはもはや「増加傾向」という言葉では生ぬるいほどのスピードで拡大しているということです。
2025年(暫定値)の特殊詐欺全体の被害額が前年比+96.7%、SNS型投資詐欺の被害額が+46.3%という数字は、1年間の変化としては非常に大きく、個人的にはかなり深刻な水準だと受け止めています。
特に注目したいのは、接触経路が「広告」から「ダイレクトメッセージ」へとシフトしている点です。
しかも接触先がInstagram、LINE、Facebookといった、私たち40代も日常的に使っているサービスであることを考えると、これは若者だけの問題ではなく、私自身も含めて誰もが当事者になり得る話だと感じます。
もう一つ、比較表で見た通り、ロマンス詐欺の暗号資産送信型は伸び率が+188.0%と、投資詐欺の伸び率を大きく上回っていました。
恋愛感情という心理的な隙をついたうえで、送金後の取り戻しが難しい暗号資産を使わせる手口は、今後さらに巧妙化していく可能性が高いと筆者は見ています。
制度面では、消費者委員会の建議を受けて、特定商取引法の執行強化や、電話勧誘販売の解釈明確化を目的とした政令改正(令和5年6月1日施行)など、行政側の対応も進んできました。
ただし、こうした法整備や執行強化が実際の被害件数の減少につながるまでには、一定の時間差が生じるのが実情でしょう。
今回紹介した2025年(暫定値)のデータを見る限り、少なくとも直近ではまだ被害が増加基調にあり、今後の統計でこの流れがどう変化していくかを注視する必要があると筆者としては考えています。
読者の皆さんに伝えたいのは、「自分は大丈夫」と思っている人ほど、実は見落としがちだということです。
SNSで届くダイレクトメッセージや、著名人の画像を使った広告は、年々巧妙になっています。
「必ずもうかる」「元本保証」といった言葉を見かけたら、それだけで一度立ち止まる習慣を持つことが、今の時代には欠かせないと感じます。
まとめ
警察庁が2026年2月に公表した2025年(暫定値)データによると、SNS型投資詐欺は認知件数9,538件・被害額1,274.7億円、SNS型ロマンス詐欺は認知件数5,604件・被害額552.2億円と、いずれも前年より大幅に増加しています。
接触経路はダイレクトメッセージが急増しており、Instagram・LINE・Facebookといった身近なSNSが被害の入口になっているのが実情です。
ロマンス詐欺では暗号資産送金型の伸び率が突出しており、恋愛感情を利用した手口との組み合わせに特に注意が必要です。
背景にあるSNS関連の消費生活相談件数(2021年時点で約5万件)も含めて振り返ると、SNSトラブルは若い世代だけでなく40代・50代にとっても身近な問題だと分かります。
「確実に稼げる」「元本保証」といった断定的な言葉を見かけたら、まずは疑ってみること、そして一人で抱え込まず早めに相談することが、被害を防ぐ第一歩になります。
なお、この記事は2026年7月時点で公表されている警察庁・内閣府消費者委員会等のデータをもとに作成しています。最新の統計や制度は変更される場合がありますので、詳細は各公式発表をご確認ください。
よくある質問
SNS型投資詐欺とSNS型ロマンス詐欺、どちらが被害額が大きいですか?
2025年(暫定値)ではSNS型投資詐欺の被害額が1,274.7億円と、SNS型ロマンス詐欺の552.2億円を大きく上回っています。ただしロマンス詐欺は暗号資産送信型の伸び率(+188.0%)が特に大きく、今後さらに被害額が拡大する可能性があります。
SNS型投資詐欺は最初どこから声をかけられることが多いですか?
2025年(暫定値)ではバナー等広告とダイレクトメッセージが合わせて全体の約8割を占めています。特にダイレクトメッセージの伸び率(+67.7%)は広告(+29.6%)を上回っており、Instagram・LINE・Facebookなど身近なSNSが起点になりやすい傾向があります。
SNSトラブルに遭ったらどこに相談すればよいですか?
消費者委員会の資料(2022年時点)では、トラブルを経験しても実際に相談・申出をする人は約4割にとどまっているとされています。身近な人に相談するだけでなく、消費生活センターなど公的な相談窓口の利用も選択肢として知っておくことが大切です。

