SNS型投資詐欺を防ぐいちばんのコツは、「ダイレクトメッセージからLINEに誘導される」「必ずもうかると言われる」「個人名義の口座に振り込ませようとする」という3つのサインを見逃さないことです。
ここ最近、著名人になりすました投資広告や、SNS上の投資グループへの勧誘をきっかけとした被害が相次いで報道されています。
僕も同世代として、正直「自分は大丈夫」と思っていた口です。でも警察庁の資料を読み込んでみると、手口がかなり巧妙になっていることが分かりました。
この記事では、警察庁と埼玉県警が公表している最新の情報をもとに、SNS型投資詐欺の具体的な手口、実際の被害事例、見分け方のポイントを整理していきます。
この記事でわかること
- SNS型投資詐欺の典型的な手口の流れ
- 警察庁データで見る被害の傾向(接触ツール・要求名目・交付形態)
- 「著名人なりすまし広告」の実態と見分け方
- 騙されないために確認すべきチェックポイント
- 被害にあったかもしれないときの相談先
SNS型投資詐欺とは?典型的な手口の流れ
SNS型投資詐欺とは、SNS上で投資話を持ちかけ、投資金や手数料の名目でお金をだまし取る詐欺のことです。
警察庁が公表している資料をもとに流れを整理すると、次のようになります。
1. SNSの広告やダイレクトメッセージをきっかけに接触する
2. 投資グループやアカウント交換に誘導される
3. グループ内で「儲かっている」というサクラの投稿を見せられる
4. 投資家やそのアシスタントを名乗る人物から振込指示が来る
5. 最初は少額の偽の利益が実際に振り込まれる
6. その後、高額な偽の利益を表示され「引き出すには手数料が必要」と要求される
7. 手数料を振り込んだ後、突然連絡が途絶える
このなかで特に注目したいのは、最初に少額でも本当にお金が振り込まれる点です。
一度「本当に儲かった」という体験をしてしまうと、その後の高額な要求も信じ込みやすくなります。
ここが、この詐欺が巧妙だと言われる最大の理由だと考えられます。
SNS型投資詐欺の被害実態|警察庁データで見る接触ツールと要求名目の傾向
警察庁は令和7年7月31日、「令和7年上半期における特殊詐欺、SNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」という資料を公表しています。
これによると、令和7年上半期(1月〜6月)のSNS型投資詐欺の認知件数は2,884件、被害額は351.2億円でした。
前年同期と比べると認知件数は約2割減、被害額は約3割減となっており、数字だけを見ると落ち着いてきたようにも見えます。
ただし、この「減少」は油断していい話ではありません。
減少の主な要因は、投資バナー広告からの接触が大きく減ったことと、銀行振込による被害が減ったことにあるとされています。
一方で、ダイレクトメッセージ経由の勧誘や、暗号資産を送らせる手口の割合はむしろ増えているのです。
具体的な数字を整理すると、次のようになります。
| 項目 | 令和7年上半期の傾向 |
|—|—|
| 認知件数 | 2,884件(前年同期比 約2割減) |
| 被害額 | 351.2億円(前年同期比 約3割減) |
| 当初接触手段 | ダイレクトメッセージ48.1%、バナー等広告30.0% |
| 当初接触ツール単体 | Instagramが最多(全体の約2割) |
| 被害時の連絡ツール | LINEが約9割 |
| 金銭等の要求名目 | 株投資が最多、次いで暗号資産投資 |
| 主な交付形態 | 振込型が7割超、暗号資産送信型が2割超 |
このデータから読み取れるのは、「最初はInstagramなどの広告やDMから始まり、途中でLINEに誘導されて被害が確定する」というのが、今も昔も変わらない王道パターンだということです。
なりすましの対象となった著名人の顔ぶれは年によって入れ替わっており、以前よく語られていた人物が減り、新たに名前を使われる人物が出てきているという傾向も報告されています。
僕の同世代だと「投資は難しそうだからよく分からない人に任せたい」という気持ちがどこかにあると思います。その心理を突いてくるのが、この詐欺の怖いところだと感じます。
実際にあった被害事例|金額と手口のパターン
埼玉県警や警察庁のページでは、実際に起きた被害事例が具体的に紹介されています。
特に金額が大きい事例として、SNS上で知り合った相手から暗号資産投資を持ちかけられ、合計1億円以上をだまし取られたケースが報告されています。
もう一つ注目すべきなのが、著名人が投資を勧める広告をきっかけとした事例です。
広告をクリックしたところSNSアカウントを送信する画面が表示され、著名人を自称する人物とアカウントを交換したことがきっかけで、最終的に数千万円規模の被害につながっています。
その他の事例も含めて整理すると、次のようになります。
| きっかけ | 被害額の目安 |
|—|—|
| 著名人なりすまし広告からのアカウント交換 | 数千万円規模 |
| SNSで知り合った相手からの暗号資産勧誘 | 1億円超のケースも |
| 著名人本人・助手を名乗る者とのグループチャット | 数千万円規模 |
| 動画配信サイトの概要欄URLからグループチャット招待 | 数千万円規模 |
| 「モニター会員募集」という誘い文句 | 数百万円〜千万円規模 |
これらの事例に共通しているのは、最初の接触が「広告」または「動画の概要欄のURL」であり、その後SNSのアカウント交換やグループチャットへの招待を経て、最終的にLINEでのやり取りに移行している点です。
被害額が1,000万円を超えるケースが複数報告されていることからも、一度信用してしまうと被害が急速に拡大しやすい詐欺だということが分かります。
著名人なりすまし広告の見分け方|「無料の投資教室」に要注意
著名人になりすました詐欺広告をクリックしたことで被害に遭うケースが相次いでいます。
覚えておきたいのは、著名人が無料で投資教室を開催したり、確実に利益が出る投資話を無料で教えたりすることは基本的にないという点です。
金融庁も、詐欺的な投資勧誘への注意を呼びかける中で、こうした甘い言葉に警戒するよう案内しています。
お金を振り込む前に、次のポイントを必ずチェックしてください。
- 「著名人による」「無料の」投資教室だと説明されている
- その著名人の公式アカウントから同様の発信がされていない
- 「必ず」「確実」「あなただけ」という言葉が使われている
1つでも当てはまる場合は、迷わず疑ってかかることが大切です。
これは単なる注意喚起にとどまらず、SNS上の広告表示そのものへの向き合い方を見直すきっかけにもなると考えられます。
振込先口座や投資アプリが「本物か」を確認する方法
投資話が本物であれば、通常は個人名義の口座を指定されることや、振込のたびに口座が変わることはまずありません。
次のいずれかに当てはまる場合は、詐欺を疑って、すぐに警察に相談することが推奨されています。
- 振込先として個人名義の口座を指定された
- 振込先の口座が、振込のたびに変わっている
また、勧められた「暗号資産」や「投資アプリ」についても、必ずインターネットで名前を検索することが重要です。
検索しても情報が出てこない、または口コミで「詐欺に使われている」「偽物のアプリだ」という情報が見つかる場合は要注意です。
紹介された業者が実在する安全な業者かどうかを確認するには、金融商品取引業者として登録されているかをチェックする方法もあります。
金融庁のウェブサイトでは、登録業者かどうかを簡単に検索できるようになっています。
無登録での金融商品取引業や暗号資産交換業は違法であり、無登録業者との取引は避ける必要があります。
考察|数字の推移から見えてきた手口のシフト
ここからは、デジタルトラブルに関する情報を継続的に調べてきた立場から、僕なりの考えを述べたいと思います。
まず率直に感じるのは、「認知件数・被害額が減った」という数字だけを見て安心するのは危険だという点です。
令和6年(2024年)はSNS型投資・ロマンス詐欺全体の被害額が前年から大きく増加した年でした。それに対して令和7年上半期は、投資詐欺に限れば件数・被害額とも前年同期より落ち着いています。
ただし内訳を見ると、バナー広告や銀行振込による被害が減った一方で、ダイレクトメッセージ経由の勧誘や暗号資産を送らせる交付形態の割合はむしろ増えているというのが実情です。
これは、犯人側が「広告を出して待つ」やり方から、「個別にメッセージを送って信頼関係を作る」やり方に軸足を移していることの表れだと筆者としては見ています。
また、最初に少額の偽利益を実際に振り込むという手口は、単なる甘い言葉だけの詐欺よりも心理的に信じ込みやすく、悪質性が高いと感じます。
「儲かった実績」を一度体験させてから本命の高額請求に移る流れは、典型的な信頼構築型の詐欺の型に沿っており、今後も形を変えて繰り返される可能性が高いと見ています。
接触のきっかけがInstagramやダイレクトメッセージ、あるいは動画配信サイトの概要欄のURLだったという事例が多いのも重要なポイントです。
普段からSNSや動画サイトを利用している人であれば誰でも接触される可能性があるということであり、「自分は大丈夫」という思い込みこそが最大のリスクだと個人的には感じています。
投資詐欺とロマンス詐欺的な接触手法は、それぞれ別のパターンに見えますが、いずれも「SNSで非対面のやり取りを重ねて信用させる」という共通の構造を持っています。
なりすまされる著名人の顔ぶれが時期によって入れ替わっていることも、行政側の注意喚起や報道によって特定の名前が知られると、犯人側が別の著名人に乗り換えている可能性を示していると考えられます。
見通しとしては、AIによる文章生成や画像・音声の精巧化が進むにつれて、著名人になりすます手口や、サクラのやり取りの自然さは、今後さらに巧妙になっていくと予想されます。
そのため「文言の不自然さ」だけで見抜こうとするのではなく、今回紹介したような「個人名義の口座かどうか」「登録業者かどうか」「公式アカウントの発信と一致するか」といった、確認できる事実ベースのチェックを習慣にしておくことが、これからより重要になってくると筆者としては考えています。
よくある質問
SNSのダイレクトメッセージで投資の話が来たら、まずどうすればいいですか?
まずは返信をせず、内容を家族や知人に相談することをおすすめします。
特に「必ずもうかる」「あなただけに教える」といった言葉が含まれている場合は、詐欺を疑って間違いありません。
少額でも本当に利益が振り込まれたのですが、それでも詐欺の可能性はありますか?
あります。
SNS型投資詐欺の典型的な手口として、最初に少額の偽の利益をあえて振り込み、信用させたうえで高額な資金を引き出させる流れが報告されています。
少額の入金があったからといって安心せず、続けて資金を投じる前に一度立ち止まることが大切です。
著名人が投資を勧める広告は本物の場合もありますか?
著名人が無料で投資教室を開催したり、確実に利益が出る話を無料で教えたりすることは基本的にありません。
広告で気になる著名人を見かけた場合は、その著名人の公式アカウントで同様の発信がされているかを必ず確認してください。
不安を感じたときの相談先はありますか?
警察相談専用電話「#9110」、または最寄りの警察署に相談する方法があります。
振込を実行する前であれば、相談することで被害を防げる可能性が高くなります。
まとめ
SNS型投資詐欺は、少額の偽利益で信用させたうえで高額な資金を要求するという、巧妙な手口が特徴です。
警察庁の令和7年上半期のデータでは認知件数・被害額とも前年より減少しているものの、ダイレクトメッセージや暗号資産を使った手口の割合はむしろ増えており、油断はできない状況です。
「必ずもうかる」「あなただけに教える」といった言葉、個人名義の口座への振込指示、著名人になりすました広告といったサインを見逃さないことが、被害を防ぐ第一歩になります。
少しでも不安を感じたら、一人で判断せず、家族や警察相談専用電話「#9110」に相談することをおすすめします。

